002-18
「‥‥そんなんじゃないけど、忘れられるもんかよっ。て言うか、父さんがオレの
様子を見に来るたびに、祖母ちゃんから尋問の刑に処されてるからな、調べるまで
もなく、耳に入ってくるだけだっての」
「それって、どんなカンジでぇ?」
「‥‥母さんと真秀良准教授は、同じ特任講師でスタートしたそうなのに、全世界
で過熱続きの最先端分野は、やっぱ出世が早いみたいだよな」
「時代ってことでしょ。ファッション系って、デザイナー以外はモデルからしてA
I化が基本だしぃ、学問としても、単位稼ぎの一般教養か選択科目なのがフツウだ
もんね」
「‥‥それで、モデルあがりの母さんとガッツリつながったわけかよ、年齢的にも
近そうだし。実質的子分は母さんかもな、鬼は金棒があってナンボみたいなカンジ
だし、出来の良い金棒に越したこたぁないもんな」
「だぁって、キキはIQと学力の高さだけなら全国屈指で、仕事しかしないポンコ
ツだもん。それなりに成果もあげるし、評価だって得ちゃうわよ~」
「うっわ、ガチか~やっぱ」
「まぁ、要所要所で、魁のお母さんが甲斐甲斐しく世話を焼かなければ、ただのポ
ンコツ講師で終わっていたんでしょうけどね~」
「だからって、自分の息子まで、親友の研究データ収集のために利用しちまうかよ
フツウ? ウチの母さんもそういうトコがドポンコツ、いや、やっぱ鬼なんだろう
な‥‥」
一瞬、何心なく思い返された魁だが、心から笑っている母親の記憶は、一片たり
とも出てこない。
「魁の、仏より鬼が出ちゃう方を選び続ける情張りぶりだって、お母さん譲りよね
ぇ、間違いなく」
「お互い様だろが、その辺は」
「魁が頑として帰らず、こっちで暮らす以外の解決法をなくしちゃってからという
もの、魁のお母さんまで、魁に一度として会いに来ていない強情さだもん」
「ま、ウチの祖母ちゃんからして、違うタイプの鬼ときてるからな」
「ウフッ。そおなんだぁ?」
「あぁ。どっちかがチラとでもツノを出せば、穏便になんか絶対いかない。母さん
は、祖母ちゃんと大ゲンカになるから来ないだけ。父さんも、母さん相手にゃ完全
なポンコツだしさ」
「‥‥小姑一人で鬼千匹でしょ、鬼姑と鬼嫁のティタノマキアで板挟みだなんて、
ポンコツじゃスクラップになるだけでしょうし~」
「うまそうなこと言ってんなっての。‥‥けど、だから母さんも、気マメに真秀良
准教授の世話焼きができちまう。悪循環の共依存なんだろな」
「金棒だって、鬼に振るってもらってナンボでしょうし、魁のお母さんに握られち
ゃったら、キキにどうこうできるなんて考えられないもん、全っ然っ」




