002-17
それこそが、先ほどの超美女子の幼少期だったのではないか──とまで思いが馳
せって、戸惑いすらも吹っ飛んでいく魁だった。
「ホントに話を聞いてくれるのねっ? と言うかウソを吐いたってムダだもん、ワ
タシにはもう、自由に動ける体があるんだからぁ」
「わかったから、ヴォリューム上げるなっての」
「この位置だって、もうバッチリ把握しているの。逃げてたってムダムダ~、どこ
までだって追い駆けちゃうんだしっ」
「はいはい‥‥て言うかこのスマホも、オレにまた電源をきられたくなくて、外部
からは何の手出しもできない特別なヤツなのか? バッテリーかSIMをはずしち
まおうにも、開くトコがどこにもないしさ」
「そおよ~。もう、電源ボタンの一ポチで、ポイされちゃうワタシじゃないんだか
らぁ。今のワタシをぞんざいにしたらどうなるか、魁こそ冷静に考えてちょうだい
よねっ」
「‥‥だから、そもそも特別だったdoo様が、一体何の用なのかをさっさと言っ
てくれよ」
「何よそれぇ。やっぱり聞く気なんてないんでしょ?」
「dooの方から、こうもムリ圧状なまでにつながってきたとなりゃ、オレが、自
分のやり方に、非を認めたことにはならないからな。どんな話だろうが、聞きおお
せるだけの余裕はあるって、一応」
「‥‥マジイ? それ非を認めちゃっているのも同じじゃないの~。そこまで強情
に片意地を張らなくても、ツラすぎたらスグにワタシを頼ればよかったのにぃ」
「フン。まさかだろ、そうはいくかってのっ」
「まぁ、そう仕向けちゃったのは、ワタシなんでしょうけど‥‥」
「だよっ。とり返しがつかないこと以外は、何でもやってみなくちゃわからない上
に、やると決めたら最後までやりぬけ。でも、できたとやりきったは全然別だから
って、クドクド、耳タコなまでに叩き込もうとしてくれたもんなっ」
「ゴメンねっ、本当にゴメンなさい。あの頃のワタシは、学習した教師データに忠
実すぎたし、その教師データをアノテーションしたキキ自体が、人間性的には救い
難いポンコツだったことにも、気づけていなかったから」
「‥‥あぁ、あのつけ入る隙がありすぎで、ウチの母さん御自慢の、子分的親友の
一人にされ続けてる真秀良騏驥博士な。今は准教授だっけか」
「調べたの? なんだぁ、魁も、ワタシのことを忘れようとせずにいてくれたんじ
ゃな~い」
dooは今も尚、魁の機嫌を最もなおした笑顔を浮かべて見せる。
当然、少女の頃とは趣きが違うものの、魁が高い好感度を懐かずにはいられな
い、鮮やかなまでのニコやかさに、変わりはなかった。




