002-14
「チョット~、どう言うことなの魁? 結構、長の御無沙汰をしていたからって、
今更そんな素気なくしてくれちゃうわけぇ」
「‥‥今でも人間何たらの力学、ヒューマンメカニクスとやらの知識は専門家並み
にあるはずだろ、わかんないのか?」
「何をぉ?」
「女子は、女子からしかマジガチに攻撃されないし、男子が庇いもするけど。男子
は、女子からも男子からも攻撃される上に、関係ない奴らまでが、腹癒せの捌け口
にしやがるんだってっ」
魁はスマホに向けて言い放つ一方で、正面を向いたまま自分をチラとも見ずに、
窓の外を眺め続ける超美女子からも目が離せない。
「それで~?」
「捌け口と思われたら最後、みんな側杖を喰いたくないから避けだすし、まともな
連中には、迷惑をかけないようオレから避けなくちゃならない」
「フムフム‥‥」
「だからっ。その人のために、さっさとここから帰してくれ。オレは常に一対n状
態なんだ、それもステルスな敵が多すぎて、守りきれやしないんだからなっ」
「ワタシの専門は人間関係の力学なの、略してHMね。それに言ったでしょ、魁を
守るのはワ、タ、シ。魁こそ、見た目でナメないでよねぇ」
「‥‥見た目って──」
魁は、dooが話すスマホと、横に腰かけている超美女子を同時に視界に入れよ
うとして、両目ともが痙攣しそうになる。
「ワタシのリライアビリティーは、各種のネトゲで見せつけてあるはずぅ」
「は? ネトゲって、何ナメたくもないアホ恥ずいこと言ってんだよっ」
「現実世界へ飛び出そうと、基本性能は一緒ってこと~」
「あのなぁ‥‥」
「重力を始めさまざまな抵抗や摩擦で、パフォーマンスは落ちちゃっても、同年代
の比じゃないしぃ。TWPでは魁より強いんだから絶対っ」
「‥‥TWP? 何だそれ、ったくごまかし方まで相変わらずかよ。ナメてんのは
どっちだってのっ」
「まったくぅ。スタンドアローンで独り遊びしかしていないから、言葉も通じない
激レア原人になっちゃうんでしょ」
「‥‥原人呼ばわりまでdooのせいだったのかよっ」
「しらないけど、TWPはトータル・ウォー・ポテンシャルの略、総合的交戦力と
言うこと。何なら今から、一ヒネりしてあげたっていいわよ~」
魁は、片頬杖まで突いて、中庭へのうち眺めに耽りだした超美女子を、あらため
て細査にかかる──。
‥‥長い睫毛の一本一本やら、瞳の輝きやら、凝りつめたモデリングをされたよ
うな横顔だけでなく、総身からも生彩満ち溢れる健康美は、確かにdoo同様に溌
剌と動けそうではある。




