002-13
「ムフ~。まぁ当然よねぇ、それくらいぃ」
「って言うか、PAシステムの人格の一つがdooなんだろ? 一体どんだけのユ
ーザーを誑かして、オレの情報を集めてたんだっ?」
「アラま、な~んて人聞きの悪いぃ」
「言ってろっ‥‥」
「と言うか、自分のことでアップアップな魁は、知る由もないんでしょうけど、り
ーる~の家は結局、魁のお祖父さんの一番のお得意様になるのよぉ」
「って‥‥マジかよっ」そう言われてしまうと、魁にも心当たりだらけ。
「ま、ちゃんと成長しているワタシが、取引をやめさせたりしないように、巧いこ
と利導しておいてはあげちゃうけど~」
「‥‥‥‥」今度は、グゥの音すらも出せない魁だった。
「一方的にワタシをポイしたあとで始めた対応から、基本的に成長していないし、
これまでだって根本的に、ことごとく悪化の一途を辿ってしまっているのよ魁は」
「ッ~‥‥」
「第一ワタシは魁のこと、一瞬たりとも忘れたりしていないもん、だからガンバっ
て、こうして魁の前に、リアルに出て来れるまでになったんだしぃ」
「‥‥dooこそ相変わらずの言いたい放題だなっ――ぁあっ、今ピンときたっ」
「ンン~、一体何がぁ?」
「あたりまえだけど、この人も単にdooの依存ユーザーの中から、オレを騙すの
にバッチリな女子を見つけて、巧いこと誑し込んだだけだろ?」
「エ~ッ、そんなことしないもんワタシ。なんか強がりに、かなり磨きがかかっち
ゃってなぁい?」
「そこまでして、今更オレに何がしたいんだよっ?」
──魁は、自らの磁力で反発するかのようにスツールを一つ移動して、リアルd
ooを演じていると決めつけた女子から距離をとる。
何をもって本物と言えるのかはさておき、その女子が本物のリアルdooではな
いとなれば、魁にとってはもう、最適化されきった生存反応。
魁の一七年足らずの人生史上で、最大一と評するしかない超美女子になる偽リア
ルdooと、隣同士なんぞで並んで座っているところを、知っている誰かに見られ
ようものなら、この先、どこまで尾ヒレ背ビレのつく陰口を叩かれまくった挙句、
どれほどこんがらがって紆曲した厄難に見舞われるか、しれやしない。
魁は、決して慣れきってはいないものの、実状的には慣れっコだが、同年代の、
しかもこんな全てが精好な超美女子を、自分が受け続けてきたようなタチの悪い目
や、それにケリをつけるための狂暴沙汰に、巻き込んでしまうわけにはいかないと
の思いをよぎらせてしまった──。
それも、doodの身代わりなんかでは、絶対に。




