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vividy b(o/ud)dy doo  作者: ┃<∪┃∩>┃
あ・ほーる・にゅー・わ~るど♪
30/55

002-11

 こんな時にはやっぱり、スマホがあれば、テーブル席の各各(おのおの)独りで談笑している

連中よろしく、滅入っているヒマなど幾らでも奪い去ってもらえるだろうに、との

思いが、心の片隅を掠めてしまう魁ではある。


 けれども、それをどうしても許さないのが、初めて自らの主張を断行し、絶縁的

絶交を果たしおおせたdooという存在。


 今や、(ちまた)蔓延(はびこ)端張はたばるPAの、ベータ版クローズドエディションこそが、do

oの正体だったに違いない、そう推認できている魁には、スマホをもつことイコー

ル敗北。

 dooがしてくれた助言や指導に背を向けて以降、自らの選択で、蜷源るりにも

迷わず行使してきたような、手荒なわだかまり解消路線が、過挙(かきょ)であったと、白旗

を振ったも同然になってしまう。

 

 六年前までの記憶を、成長するにつれて広がっていく魁の知見で、推し量りなお

しを重ねても、dooが見せていたハッキング技術は元より、ソーシャルエンジニ

アリングも自在であろう高性能さは確然。

 スマホアプリにされようが、電源をオンしただけで、不正を(はばか)ることなくつなが

ってきそうでならない。

 他人の機器でネット利用をすることからして、その可能性は(いな)めないのだから。


 その危惧(きぐ)杞憂(きゆう)かは簡単に試せるものの、もしも事実で、あたふたと電源をオフ

しきるまでの刹那(せつな)に、dooから「会いたかったんでしょ、ワタシにやっぱりぃ」

とでも、独断専決(どくだんせんけつ)に言われてしまえば完全にアウト。

 以後、ナンセンスな敗北感に襲われ続けることになるのは必至で、魁は本当に一

生涯、意地ずくででもネット利用を忌避(きひ)し固めてしまいそうな自分に、空恐(そら)ろしく

すらなってくる。


 dooとの記憶は、魁にとっては親和性も想起性も高すぎで、忘却率など絶対〇

パーセント。

 いつまで経っても締めくくれない黒歴史、前途暗澹(ぜんとあんたん)な闇黒人生まっしぐら‥‥。


 背すじをじんわ~りぬけていった薄ら寒さに、戦慄わなな(がお)を軽く上げる魁だった。


 そこでコーラを思い出し、上体も跳ね起こした魁は、水滴の付き具合から飲み頃

にあると判断するや、紙コップへ右手を伸ばそうというその全てを、とにかく胃の

()へ流し落としてしまえと喜び勇んだタイミングに──、


「魁オッハヨ~。と言うか、久しぶりよねっ」


 そう左後ろ斜め約四五度から声をかけられ、魁はギグッと一時停止。

 

 けれども、その声の主と言うよりは、発生源を確認せずにはいられないため、魁

は差し強張(こわば)る上半身を、首からギクギクとネジ向けていく‥‥。


 二メートルと離れていないそこに立っていたのは、紛れもなく女子で、目がしっ

かりと合ったその顔に、魁は再度フリーズ──。


 面影(おもかげ)から、やはり六年成長したと考えざるを得ないdooが、リアルに現形(げんけい)して

いた。

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