表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
vividy b(o/ud)dy doo  作者: ┃<∪┃∩>┃
護国の鬼も一刀壟断
111/112

005-17

 ロンイェールビの海岸から望み見た、不吉なまでの暗雲に覆われるのも、時間の

問題と思えてきて、それがまた無性に魁を焦らせる。


 いっそのこと、今度はこの町を高高ととり囲むクレーターウォールの一部を、斬

り消してやろうかと血迷い始め、腰から明王斬りも抜いていた魁だった。

 だが、斜面の向こう側に何があるのかわからない上、わかっている西南側には、

倒してきた老鬼女隊長たちがいるため、斬ってしまうわけにもいかない。


 思い惑って天を仰いだ魁は、この逆上(のぼ)せあがりと、そうさせたきっかけの両方を

解消する策をひらめくと、それについてはもう、迷うことすらもできずに敢行。


 空を曇らかしている薄雲そのものを、斬り掃ってしまえばいい。魁は、早く自分

の心をも晴らそうと、真上に向け明王斬りを全力で振り()う――。


 が、頭上の空は、晴れあがって明るい青さをとり戻すどころか、闇黒の夜空へと

一変した。

 

 しかし、実際に夜になったわけでも、町の上空にだけ宇宙空間が覗けているわけ

でもないことは、星星が全く散り見えていないため、直感的に判断できる。

 とにかく、とんでもないことをやらかしてしまったと、先ほどを超える血迷いに

襲いかかられる魁だけれども、それすら寸秒ほどしか許されない。


 魁が、空を穿(つらぬ)いたことになる歪で真っ黒な大穴から、その穴を塞がんばかりに巨

大な鬼の顔がぬぬ~と現れ出て、真下で見上げる魁を瞋恚(しんい)に燃える血走った眼でギ

ロリ、石と化さんとするほどに射竦(いすく)めてくる。


 ‥‥それは、二本のツノが頭頂からではなく、額から突き出している違いがある

だけで、魁にも節分のキャラクターで馴染みが深い赤鬼だった。


 あまりに大きすぎて、今にも圧し潰されそうなくらい間近に感じられてしまう赤

鬼の顔面に、魁は竦み上がることもできず、半ば腰が砕けてへたり込む。


 頭部だけで、ざっと数百メートルにもなろうかというスケールになれば、総身な

ど想像もしたくないし、しきれない。


 こんなのは、おそらく鬼のまやかし、慢心した悪ノりで、侵入する魔族や海棲(かいせい)

獣を威嚇で追っぱらう大仕掛けだと信じたい魁は、老鬼女隊長が(ほこ)ろかしていた鬼

道とやらの、それも奥義中の奥義になる一つで、幻覚を見せられている可能性をヒ

ネくり出す。


 それで、魁はどうにか思い静まるべく、深呼吸も過呼吸なほどシャリムリに始め

た。


「‥‥もしやぁぁ、南の海に異変を起こしたのも、おまえの仕業かぁぁぁ?」


 空から響いてきたのは、耳を(つんざ)くほどの大音量の声ではないものの、辺りの空気

だけでなく、地面までもが震えていることが尻から伝わってきて、魁は唇の片端が

戦慄(わなな)いてしまい、結局開いた口が塞がりきらないほどに動転する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ