005-11
次の瞬間、イプラはショートジョンのウェットスーツ姿へと変わっていた。
それも、白くキラつくラインの入ったデザインに見せて、しっかりと衝撃応答型
プロテクト素材が施されていて、見た目にはもう海女ではなく、凛然としたダイヴ
ァー。
「ぅわ。何これ? 何でよ?」
「それは、イプラにお近づくための心付けよぉ。ワタシが育った国では、海の中で
泳ぐだけじゃなく、あれこれ活動する時に着るモノなの」
「あんたは魔術、いえ無詠唱魔法でもこんなのは知らないから、製出術と同時に妖
術も使えるアル・キミア一派のWizってことなの?」
この世界のアル・キミアーが、dooが知るアラビア語由来の錬金術と同じかど
うかまでは定かではないけれども、dooはニッコリ頷きながらの受け答え。
「そんなトコかしら~。そのとんでもない胸に巻いていた布だと、解けてボロリン
しちゃうのが気になって、腕を思いきり動かせないでしょ」
「‥‥うん、まぁそうだったんだけど‥‥」
「それでモォ、グズつく男子たちに指図しようとしなくても、自分でバリバリ存分
に働けちゃうぅ」
「‥‥くれるの? こんないいカンジのをマジガチにっ?」
イプラは両腕を前に後ろにと大きく振り回し、体もヒネってスーツのフィット感
をチェックしだす――。
「どうかしらぁ? 調整はどうにでもできるから言ってね~」
「うんうん、これならバシャバシャ思いっきり働けそう」
「これを機会に、ワタシたちと仲好くしてくれたら、イプラに新しい物をチョクチ
ョク贈り続けてあげるぅ。だから、物惜しみしないでバシャンバシャンやっちゃっ
て~」
「えぇっ、もらえないよそんな‥‥第一、初めて会ったWizとなんて、仲好くな
れるか自信ないよ私‥‥」
「別にそんな、ワタシたちを、見慣れないから悪くて嫌な奴らだと、決めつけない
でくれるだけでいいの」
「‥‥うん、そんなことは全然かまわないし、思ってもいないけどさ、そんなこと
くらいじゃ、私ばっかり得するみたいで嫌だよ正直」
「なら、リヴィダスの代官について、イプラが知っていることを教えてくれたら嬉
しいわ~」
「代官? ‥‥リヴィダスの?」
「そう。これから会いに行かなくちゃならないから、機嫌を損ねない方がいいでし
ょ?」
「その程度でいいなら、いいけど‥‥でも教えるのは漁のあとになるよ、今は急が
ないといけなくて。待ってくれたら、サカナを届けるついでに案内してあげるよ」
「ウンウン、いいのそれで。じゃぁ男子たちには、こんな贈り物を~」




