005-09
イプラ:イメージイラスト
そんな、灼然たる異俗さを見取らせるエナジェティックな女子の存在感は、魁の
警戒レヴェルを急狂騰させていた。
dooと一緒だからと、のさのさ走り寄ってしまったが最後、オルカ女子からど
んな手厳しいリアクションをとられるか、知れたものではない。
そうなれば当然、オルカ女子を、仕事仲間以上にもてはやしているに決まってい
る男たちからも、反感を激成しかねないというのが、男女が共生する世界ならば、
共通かつ絶対の理。
経験則から、触らぬ女子に祟りなしが骨の髄まで沁み渡りきっている魁だけに、
dooが接触した反応や、その後の会話の弾み具合を、充分な距離を置き充分窺い
終えてから、近づくのがベストと判断。
足を大げさに投げ出して、魁はどっかと腰を下ろした。
さらに、自分が無害な端物であることを印象づけるため、魁は早速、バッシュの
片方を足から抜きとる。
それを引っ繰り返して振り続け、小石がなかなか出てくれないフリをしながら、
dooがオルカ女子相手にどうきり出すのかに、しっかりと耳目を属す──。
「忙しいところへゴメンなさぁい。ワタシdooって言うの、大陸同士がくっ付い
たから来れちゃったんだけど~。チョット尋ねたいことがあって、かまわない?」
dooは、怪訝の目を瞠る男たちが立ち並む間を、愛嬌をふりまきながらヒョヒ
ョイとすりぬけ、オルカ女子にそう問い寄った。
オルカ女子にしても、胡散クサそうな二人のより怪態な方が、真っ先に声をかけ
てきた意表に、当惑気味の面持ちにならざるを得ない。
「‥‥かまわないけど、くっ付いたからって、勝手にこっちへ来たら捕まるよ。た
ぶん酷い目に遭わされるし。警備をどうするかが決まる前に戻った方がいいよ」
「そうなんだぁ? で、あなたのお名前は~?」
「私はイプラ。悪いことは言わないから、早いトコ引き返しなよ――」
イプラは、あらためて捷速に視線を上下させて、dooの全身を見返す。
「アハッ、これ~? 最新式の鎧甲になるのかもぉ」
「‥‥あんた、変わった格好してるから、確実に目立って、ホブゴブたちに見つか
るよ。ヤバいって」
「これは、動き易さを追求した服に鎧を付け足したようなモノで、ワタシたちの国
ではフツウなの~」
「‥‥それで? ‥‥フツウなんだ?」
「あそこで、人見知りをごまかしている具足師がデザイン、と言うか図案にしたの
を基に、ワタシが拵えたのよ~。ワタシたち、リヴィダスにそういう仕事をしに来
たわけ」




