005-07
「‥‥あれも、鬼族なのか?」
「鬼じゃなく、人鯨族と人亀族ね。こっちではワタシたちと同族よ」
「カメ人間? 鎧った上に大鍋を背負ってるんじゃなく、甲羅なのかあれ‥‥」
「そう見えなくもないけど~、カメはカメでもウミガメだわね」
「でも、クジラ人間はわかるけど、カメは爬虫類じゃないか」
「異世界でしょここは~。魁が知っている生物分類学上では鋼が異なっても、同じ
脊椎動物だし、人鯨族よりも親切で大らかな人種だわ」
「‥‥そ? ま、異世界だもんな‥‥」
「あのサイズだと、あそこにいる人鯨族たちも荒っぽくはないわね。ハンドウイル
カってカンジ~」
「ハンドウ? バンドウだろ、最もポピュラーっぽいイルカなら」
「標準和名はハンドウイルカなの。バンドウイルカは、ニ〇世紀に哺乳類学者が提
唱しだして、水族館などから広まったんだから」
「そうなんだ? へぇ~‥‥」
「ま、クジラと呼ぶには中途半端なサイズという半道説、関東の海にいるからとか
の坂東説、命名時の資料が残ってるわけじゃないから、どっちもアリだけどぉ」
魁にも、イルカとクジラは生物学的分類は同じで、区別はサイズ感に基づく慣用
的な呼び分けでしかない。日本では、成体の体長が四メートルを境にしていること
は知っていた。
が、ただの機嫌顔で言うdooなので、自分のそうした記憶が不思議になってく
る魁は、これ以上は掘り下げないよう物問い続ける。
「とにかくは、イルカってことな‥‥ウェットスーツがあるのかと思ったけど、あ
れが素肌ってことなんだな‥‥」
「素肌と言うよりスッポンポンねぇ。イルカもウミガメも、おチンチンを体内や尻
尾に引っ込められて便利なの~」
「ったく。レリゴー女子にもほどがあるっての、知ってても口に出すなよそういう
尾籠なことはっ」
「キャハッ、尾籠ねぇ‥‥女子なのはワタシのありのままだもん。それにほどなん
てあるわけ~?」
「そう言うことじゃないし、大いにあるってのっ」
「エ~? あるって何がよ」
「あぁ。この際なんで喝破しとくけど、レリゴーってのは、ありのままで全然いい
のに悪遠慮して、控えめすぎる奥ゆかしい人のみが許される特権なんだっ」
「アラ~ン、言ってくれちゃうじゃないのぉ」
「だから慎めよdooは」
「充分控えめで奥ゆかしくしているんだけどワタシ。慎みすぎて、魁に叱りつけて
おかなくちゃいけない文句を、一割も吐き出せていないし~」
「さ~て、一体何の話だったけかぁ‥‥オォあの人たちだった、どして裸なんかで
出て来たんだろな? 町の中がそこまでの騒動になってるカンジはしないのにさ」




