005-06
「フーン。まぁらしいよな‥‥」
「だから、分限を超えた珍事中夭には、オタついちゃうのかも~」
「でもそこに託けて、オレたちが戻したんだから丁寧に相手しろって言うつけ込み
作戦は、もう使おうとしないでくれよな」
「どしてぇ? 勿体ないじゃない」
「オレたちの若さじゃ、その手の騙りは、この世界でも通用しないんだ。別のふけ
らかしか、手練手管を使わないと」
「まぁ任せておいてよ。お代官様たちがオタついちゃう理由の大半は、ロンイェー
ルビ間を運航する船が、どうなったかわからないからでしょうし」
「そう、なのか?」
自分のオタつきを表面化させないことで一杯一杯。代官たちの現況がなぜわかる
かまでは、dooに問い質せない魁だった。
「人族との交易のために、各国が、価値ある積み荷を送り出したばかりの大変事と
なれば、オタつき加減もそれは一入よねぇ」
「そう言や、こっちにも船が見当たらないってことは‥‥海が斬り退けられていた
間、船は一体どうしちゃってたんだろ?」
「そんなことは知らないけど、さっき上から海をふり返った時には、ちゃんと小さ
く見えていたから、船は何ともなかったってことでしょ」
「マジガチかよ? 船なんか全然、オレは気づかなかったな‥‥」
「視力自体は魁もいいけど、観察眼や状況認識力という意味なら、ワタシの方がい
いのかも~」
「どうせだっての‥‥船がホントに何ともないなら、いいけどさそれで」
「ウン。それを教えてあげるだけでも、魁が倒し易くなるくらいには、丁寧な相手
をしてくれるんじゃなぁい?」
「ガチで目敏い、って言うより、ぬけ目なさすぎだよなぁ‥‥」
「だから、如才ないでいいでしょ、そこは~」
「はいはい。でも荒事は避けられないのかよぉ‥‥なら、まずはオレに任せて、d
ooは絶対に、先に手を出さないでくれよな」
「ハイハイ。あくまでもワタシは、魁を守るために攻められなくしちゃうだけ~。
口は出しても、手なんか出さないもん」
「とか言っても、魔述は出しまくるんだろ? 詠唱もないもんだから、ツッコみよ
うがないときてるんだよな」
「ウフ~。どうしても必要な時には、足で蹴り退かすしぃ──とか戯らけている間
に、誰か出て来たわっ」
目指している町への入口、両側から続く板塀が途切れただけの門もない広めの合
間から、人影が幾つか、うそうそと現れたことは魁も明視できていた。
けれども、それらの体形、肌つきや色に、目を凝らせば凝らすほど、魁には異質
さばかりが感じられてきてしまう。




