第二百三十話
「エルフィンド。そうがっつくものじゃない」
マーカスがそうなだめる。
「理性ではわかってるんだけど・・・」
「はぁ・・・。仕方ない」
マーカスはそう言ってキッチンの方でガサゴソしている。
そして持ってきたのは小瓶に入った樹液だった。
「それって・・・」
「帰ってきたら渡すつもりでいたユグドラシルの樹液だ」
「本当にいいの?」
「エルフィンドの為に取っておいた物だからね」
「ありがとう」
エルフィンドはそう言って宝物を抱えるように瓶を抱えている。
「食事にしよう」
「そうですね。色々あってお腹が空きました」
俊達は食卓に座り用意されていた料理に手をつける。
今回も奮発してくれたのか豪華な食事が並んでいた。
それぞれ気にいった物を中心に手を付ける。
俊はバランスよく食べるようにしていたが、ついつい果物に手が伸びる。
「俊殿。果物が気に入ったのかい?」
「はい。食べたことのない種類ですけど味のバランスが絶妙で」
「そう言ってくれると嬉しいね。果物は特に力を入れている分野だから」
「そうなんですね。長年の努力の結果だと思うとなおさら美味しいです」
「旅立つときにはいつでも食べられるように手配しておくよ」
「ありがとうございます」
食後のお茶を楽しみつつ俊達は雑談をして過ごす。
このお茶も飲んだことのない味だがすっきりとしていてとても飲みやすかった。
1ヶ月ちょっと離れていただけだがそれでも話すことは尽きない。
それにエルフィンドの家族との交流も新鮮だった。
「ねぇ。俊達はいつまでここにいるの?」
そう聞いてきたのはエルフィンドの妹のエリナだった。
「艦の修理が終わるまでいる予定だったけど僕はユグドラシル様の依頼をこなさないと」
「そっか・・・。でも、終わったらまた来てくれる?」
「うん。用事が終わったらまた会いにくるよ」
「絶対だよ?」
「俊は1人行くの?」
そう尋ねてきたのは楓だった。
「最初は地球に行く予定だから楓も一緒に行く?」
「そうね・・・。家族ともしばらく会ってないし」
「他の皆は悪いけど留守番してて」
マーチェは問題ないが他の面々を連れて行くわけにはいかない。
地球には獣人もエルフもいないことになっているのだ。
連れて行ったら大騒ぎになってしまう。
「残念だけどわかったわ」
「この埋め合わせは必ずするから」
「何をしてもらうか考えておくわね」
簡単に引き下がってくれたが逆にそれが怖くもある。
一体、何をお願いされるのか。
覚悟をしておいた方がいいかもしれない。




