第二百二十九話
ユグドラシルの元を辞してマーカスに連れてこられた場所は開けた空間だった。
この場所だけ木が避けるように周囲に広がっている。
「ここは?」
「エルフが魔法を覚えるのに使っている場所だよ」
「そうなんですね」
「まずは私が手本を見せよう」
そう言ってマーカスは手のひらに水の玉を出して見せる。
「ほら、簡単だろ?」
そうは言われたがどうやって魔法を発動したらいいか俊にはわからなかった。
「ユグドラシル様もおっしゃっていたが魔法はイメージだ。水の玉を思い浮かべてごらん」
俊は言われた通り手のひらに水の玉をイメージしてみる。
すると本当に水の玉が現れた。
「おっおっ!」
「俊殿は筋が良い。色々試してみるといい」
俊は実際に自分が魔法が使えるとわかると楽しくてしょうがなかった。
周囲に影響の出ない範囲で色々試してみる。
水だけでなく火や風に土など。
ラノベで語られるようなものは一通り試してみた。
「魔法って凄いんですね」
「イメージが普通は難しいんだが・・・」
マーカスはそう言って驚いている。
「幸い、地球の日本には見本になる文化があったので」
「なるほど。ちょっと気になるね」
「ユグドラシル様の依頼をもありますしマーカスさんも一緒に来ますか?」
「魅力的な提案ではあるけれどそれは難しいかな」
マーカスはこの地を治める領主だ。
色々しなければならないことがあるのだろう。
「それは残念です。でも、お土産に何か用意しますね」
ラノベやアニメの円盤なら持ち出せるだろう。
「楽しみにしているよ。そろそろ戻ろうか」
「はい」
俊はマーカスと共に居住区のユグドラシルの内部に戻ってくる。
「そろそろ食事の用意が出来ているはずだから行こうか」
マーカスと食堂に移動すると他の面々が勢揃いしていた。
エルフィンドが声をかけてくる。
「俊。お帰り」
「ただいま」
「それでユグドラシル様の話は何だったの?」
「意外な事実が判明したりお願いごとをされたりかな」
「へぇ~。ユグドラシル様の頼みね」
「各地に散っているハイエルフの人達に樹液を届けてほしいって」
「樹液?もしかしてユグドラシルから採れる?」
「うん。そうだって聞いてるよ」
「とんでもない物を預かってきたわね」
「そんなに貴重な物なの?」
「嗜好品としては最高峰の物よ。過去には小瓶1つで惑星と取引されたこともあるわ」
「そんな貴重な物だったんだ」
大量に預かっているが全部合わせたらどれぐらいの価値があるかわからなかった。
「まぁ、外部に出すなんてほぼありえないんだけどね」
「そうなの?」
「この地に住まうエルフである私にとっても特別な物だからね」
エルフィンドの目はそう言いつつ獲物を狙うような目をしていた。




