第二百二十二話
「俊殿。歓迎の宴を用意したのだが来てくれるかね?」
義父であるマーカスがそう言ってくる。
「わざわざすみません」
「いやいや。他の家族も会いたがっていたからね」
「そうなんですか?」
「妻のエラントもそうだが、エルフィンドの兄弟、姉妹も会いたがっていたからね」
「他にもご兄妹がいたんですね」
「あぁ。エルフは子供が出来にくいが寿命が長いのでね。自然と大家族になるんだ」
「なるほど・・・」
どうやらアピス公爵夫妻の仲は相変わらず仲睦まじいようだ。
「それでは、ご招待にあずかります」
俊はそう言って頭を下げる。
「エルフィンドのじゃじゃ馬にはもったいないぐらいだな」
義兄であるマーカスがそうぼそりと呟く。
「ちょっと。兄貴?どういう意味よ」
その声が聞こえたのだろう。
エルフィンドが突っかかりにいく。
「はぁ・・・。そういうところだ」
「これでも可愛いところもあるんですよ?」
俊はそうフォローする。
「まぁまぁ。皆を待たせておる。いくぞ」
義祖父であるマーカスがそうまとめた。
案内された先は広い部屋となっていた。
部屋の中央には豪華な食事が用意されている。
魚介類に肉類。
他にもみたこともないような果物などが置かれている。
他にも飲み物類も用意されていた。
「いらっしゃい。今日はいっぱい食べてね」
そう言ってくれるのはエルフィンドの母であるエラントだった。
「重ね重ねありがとうございます」
「いいのよ。家族でしょ?」
「へぇ。この子がお姉ちゃんの旦那さんなんだ」
そう言って興味深そうに見てくるのはエルフィンドによく似た美少女だった。
「エリナ。ちゃんとご挨拶なさい」
「はぁ~い。エルフィンドお姉ちゃんの妹でエリナよ」
「俊・マーキュリーです」
「君は皇族だと聞いたが、マーキュリー姓を名乗っているんだね」
そう言って聞いてきたのは眼鏡をかけた青年だった。
「おっと。名乗りを忘れていたね。エルフィンドの兄のアルサックだ」
「よろしくお願いします。確かに皇族ですが父はマーキュリー家の当主ですので・・・。それに皇族の性は特別なものだと聞いています」
「あぁ。外では気軽に呼んではいけないのだったね」
皇族の名を出すのは不敬だと言われている。
口に出しても処罰はされないがそれでも軽々口に出す者は誰もいなかった。
「私達も挨拶しないとね」
そう言って残りの面々も自己紹介をしてくれる。
義父であるマーカスが言う通り大家族だった。
自己紹介はしてもらったが正直覚えられるか不安の方が大きかった。




