第二百十九話
俊は今すぐ駆けつけたい気持ちを抑え、被害状況を確認する。
戦闘に参加していなかった星系軍には被害がなかったが、戦力はガタ落ちだ。
このままアピス公爵家の支配する宙域に行くわけにはいかなかった。
明石、工作機、ドックをフル稼働させ戦力を立て直す。
駆逐艦を中心に旗艦として軽巡洋艦を建造させる。
それ以上のクラスの船は建造に時間がかかる。
今は数を揃えることが重要だった。
資源は売るほど確保できている為、資源の心配をする必要がないことだけが救いだった。
「俊。大変な時にすまないな」
祖父である皇帝シュラバがそう声をかけてくる。
「いえ。お爺様も忙しいのでしょう?」
「アルシェントが上手くやっているといっても皇帝である余にしか出来ぬこともあるからの」
「お母様にもよろしくお伝えください」
「しかっと承った。元気での」
シュラバはそう言って連れてきた艦隊を引き連れて宙域を離れる。
帝位争いは母であるアルシェントが優位にたったとはいえ本当に大変なのはこれからなのだろう。
こちらも大変だが我儘を言うわけにもいかなかった。
俊は1ヶ月の間、孤立奮闘し戦力の立て直しと内政に力を入れた。
その甲斐もあって離れても問題ないほどの戦力を獲得することに成功していた。
「悪いけどしばらく任せるね」
俊はそう言って急遽、行政長官になったリーンに声をかける。
「戻ってくるまでにもっと発展させておきます」
リーンはそう意気込む。
俊としては現状維持でも問題ないがリーンなら本当に発展させてしまいかねなかった。
それぐらい内政能力の高い人物だった。
「明石。メティス行こうか」
「はいなのです」
「了解」
俊は明石とメティスに最低限の護衛を引き連れ惑星雪風を離れる。
そして、安全を確認してからアピス公爵家の治める宙域へワープを行った。
俊達がワープアウトしたのはアピス公爵家が治める宙域の外縁部だ。
そこには事前に連絡をしてあったのでアピス公爵家の艦隊が待機していた。
「俊殿。ようこそ」
そう言ってアピス公爵であるマーカスが出迎えてくれる。
「時間がかかり申し訳ありません」
「いやいや。事情はわかっている。むしろこの短期間でよく立て直したね」
そう言ってマーカスは褒めてくれる。
「皆はどうしていますか?」
「することもないからね。ユグドラシルでのんびりしているよ」
「そうですか」
それを聞いて俊は安心した。
「まずは皆に会ってあげるといい」
「そうさせていただきます」
俊達はアピス公爵家の艦隊に守られながら惑星ユグドラシルを目指した。




