第二百十五話
俊達は万全の状態を整えてヴァルハントの艦隊を待ち受ける。
メティスの能力で陣形を確認しこちらも中央に戦力を集めていた。
「これで負けたら・・・」
俊はそう不安を思わずこぼしてしまう。
「マスター。大丈夫なのです。絶対勝てるのです」
明石がそう励ましてくれる。
「そうだね・・・。僕が弱気じゃ勝てるものも勝てないか」
俊はそう言って顔を一度叩くと気合を入れる。
ヴァルハントの艦隊はその威容を見せつけるようにゆっくりと近づいてくる。
あれだけ削ったというのにまだこちらよりもその数は多かった。
ゆっくり近づいてくるヴァルハントの艦隊が急に爆発する。
「あれは・・・?」
「私達の置き土産よん」
そう言ったのはドリトルだった。
「ドリトルさん。何をしたんですか?」
「撤退してくるときに宇宙機雷を撒いておいたの」
「宇宙機雷・・・。それで・・・」
宇宙機雷とは登録されていない宇宙船が近づくと自動的に爆発する兵器だ。
事故を防ぐ為に通常は使われないが他の宇宙船が通行する可能性のない現在の宙域なら有益な戦法だった。
ヴァルハントの艦隊は宇宙機雷に気づいたのだろう。
弾幕を展開しながら進んでくる。
弾薬は厳しいはずだが、排除しなければ自分達の乗る宇宙船が巻き込まれるのだ。
排除する以外の選択肢などない。
「ええっぃ。宇宙機雷だと?姑息な奴め」
ヴァルハントはそう言って怒り狂う。
だが、参謀はそう思っていなかった。
船舶の往来が激しい地域で使うならご法度だ。
だが、この宙域はそうではない。
宇宙機雷を使うならここほど適した環境はなかった。
宇宙機雷を排除する為に、貴重な弾薬を消費する。
このままでは戦闘に支障がでかねなかった。
だが、そのまま進んで被害を出すわけにもいかない。
どちらにせよ排除するしか選択肢がない。
相手はそれも計算してこの戦術を使ってきたのだろう。
やはり、侮ることなどできない。
ここまでずっと相手のペースで戦わされている。
数の上ではまだこちらの方が多いがまだ、何かを隠していてもおかしくはなかった。
「ヴァルハント様。まもなく機雷源を抜けます」
「そうか・・・。銀河帝国艦隊の戦い方をみせてやれ」
ヴァルハントはそう言うがヴァルハントの艦隊が取れる行動は1つだけだった。
正面からの殴り合い。
相手には急造したであろう要塞も確認できる。
このまま普通に戦えば犠牲はかなりのものになるだろう。
だが、作戦を考える時間もない。
このままぶつかるしかなかった。
参謀の頭には味方の艦の犠牲になる音がずっと響いているような錯覚が襲い掛かっていた。




