第二百十二話
楓の指揮する戦闘機部隊とエルフィンドの指揮する突撃艦隊は奇襲を仕掛けるために大回りをしてヴァルハントの艦隊の背後に忍び寄る。
到着と同時に牽制の為に放たれていた味方艦隊の攻撃が止まる。
宇宙生物相手に何度も使ってきた手だ。
その練度は高く、今回もその練度の高さが現れた形だ。
宇宙生物は突撃に気がつくと反撃してきていたがヴァルハントの艦隊にはそれがない。
突撃した楓の指揮する戦闘機部隊とエルフィンドの突撃艦隊が大暴れをする。
ヴァルハントの艦隊は何が起こったかわからぬまま次々と沈んでいく。
楓の指揮する戦闘機部隊とエルフィンドの指揮する突撃艦隊は勢いを殺さぬまま一気にヴァルハント艦隊の中央を突破する。
楓の指揮する戦闘機部隊とエルフィンドの指揮する突撃艦隊が安全圏に離脱したのを確認すると同時に味方艦隊は攻撃を再開した。
一度の突撃で受けた被害は甚大であり、ヴァルハントの艦隊はズタボロだ。
電子攻撃はまだ続いており計器も通信手段も封じられたままだ。
それでも、銀河帝国艦隊の誇る精鋭艦隊だ。
目視だけで何とか陣形を立て直そうとしている。
だが、それを許すハルカ達ではない。
そこ狙い撃ち次々にヴァルハント艦隊を沈める。
楓の指揮する戦闘機部隊は補給の為に母艦に戻ったがエルフィンドの指揮する突撃艦隊は次の突撃に備え艦列を整えタイミングを図っている。
右翼艦隊の戦いは勝負があったようなものだった。
中央ではお互いに主砲の撃ち合いをしている。
双方にかなりの被害が出ているがそこには致命的な違いがあった。
俊側の犠牲になっている艦はAIの操る艦だけだ。
それに対してヴァルハント側の艦は人が操縦している。
練度の高さでカバーしているが目を潰され綱渡りをさせられているようなものだ。
精神的に疲労し味方が減ることによるストレスはかなりものだ。
そして、士気を下げる要因がもう1つ。
それは艦隊を率いているヴァルハントの存在だった。
「お前達は何をやっている。あんな小僧の艦隊に苦戦しおって。それでも銀河帝国艦隊の精鋭か!」
部下達は何も言わない。
言い返す時間ももったいないからだ。
計画を立てその通りに進むのならヴァルハントは優秀なのだろう。
だが、計画が崩れた時。
その時のリカバリー能力はかなり低いのが露呈した形だ。
数ではまだヴァルハント側が勝っている。
だが、このまま潰し合えばその戦力差はひっくり返る可能性もあった。
今ならまだ、次の手を打てる。
参謀の1人は意を決して進言する。
「ヴァルハント様。ここは一時撤退を」
だが、ヴァルハントは参謀に怒鳴りつける。
「引くなどありえぬ。なんとかしろ」
参謀は心の中で溜息をつく。
「わかりました・・・」
最高責任者であるヴァルハントは進言を聞き入れないだろう。
そうなってくると取れる手は限られていた。




