第二百四話
建造は進み前線基地が最低限の機能を獲得した頃、メティスが報告してくる。
「マスター。当該宙域に支配下にない宇宙船の反応をキャッチしました」
「メティス。どの辺りか教えてくれる?」
「今、モニターに映します」
モニターに映されたポイントはここからはかなり離れている。
「誤報とかじゃないよね?」
「現在も信号をキャッチしています」
「展開中の全艦隊にも伝えてくれる?」
「了解しました。通達します」
相手の素性はわからないがこれが敵対するヴァルハントの配下の可能性もある。
お互いに接触しようにもその間には膨大な数の宇宙生物の群れがいる。
実際に接触するまでにはまだ時間があるだろう。
「時間がもうちょっとほしいな」
俊は正直にそう漏らす。
最低限の機能を獲得したとはいえ、前線を支えるにはまだまだ設備を整えたい。
それを考えれば接触する時間があればあるほどこちらが有利だ。
それに惑星雪風のある宙域からは定期的に造船の終わった軍艦が送られてきていた。
送られてきた軍艦はメティスの統制下に入っており、護衛に雇っていた傭兵達は宇宙生物の狩りに戻っている。
俊は捜索している全艦隊に指令を出す。
「宇宙生物を盾に時間を稼ぐよ。その間にこちら側の宙域の安全を確保するために影響の出そうな宇宙生物を狩って」
各艦隊から了解の返事が返ってくる。
「メティス。相手が気がついた可能性は?」
「かなり低いかと」
「ありがとう」
俊はお礼を言ってから考えに没頭する。
相手が気がついているなら余裕はなかったが、気がつかれていないなら出来ることはまだまだある。
電子戦艦であるメティスの未完成部分も完成しており、万能戦艦である明石はこの場に残りその能力を生かして造船して戦力の拡充に貢献してくれていた。
「明石にお願いがあるんだ」
「お仕事です?」
「うん。小型の要塞でいいから作れないかな?」
「データにはあるのです。小型の要塞でいいんです?」
「時間があまりないからね」
「わかったのです。造船が終わり次第作業に入るのです」
要塞は動けない代わりに防御力が高く攻撃力も高い。
小型の要塞とはいえ、うまく運用すればかなりの効果が期待できるだろう。
俊は数や質で相手より劣っていることを想定している。
うまく艦隊を運用し味方の被害を抑えるつもりでいる。
だが、最終的には防衛ラインであるこの前線基地にまで攻め込まれる可能性は高かった。
小型の要塞はその時に強力な戦力となるはずだ。
不利な状況を覆す切り札になる可能性もあった。




