第二百三話
俊は前線基地予定地に到着すると工作機を全て投入する。
制御するのは電子戦艦であるメティスである。
工作機は通常は自分で作業の確認を行い作業をする。
だが、今回はメティスが先回りして全ての作業を計算しており、自分で作業の確認をする必要がない。
人と違いAI制御の工作機は休む必要もないため、予定通りに進行すれば1週間もあれば最低限の機能を獲得できるはずだ。
それと同時進行して万能工作艦明石が未完成部分の電子戦艦メティスに隣接し仕上げの作業をしていた。
資源は十分用意してあるし、宇宙生物を狩っている各艦隊にもこちらに資源を運ぶように指示を出している。
資源が足りなくなる要素はなく、後はただ待っていれば良いだけだった。
「マスター。暇なら実験をしてもいいですか?」
メティスがそう提案してくる。
「実験って?」
「この宙域に展開している各艦隊とのデータリンクの確認です」
「それを行って前線基地の制作に影響は?」
「私の処理能力なら余裕です」
「そっか・・・。なら、試してみてもいいよ」
「ありがとうございます」
メティスはそう言ってから展開している各艦隊とのデータリンクを開始した。
俊にもわかるようにモニターに映像を流してくれる。
データリンクは正常に動いているようで宇宙生物を狩っている女性陣の艦隊やエルフの艦隊が今どうなっているのかリアルタイムで知ることができた。
「これは凄いね・・・」
俊はそう言うしかない。
距離としてはかなり離れている。
これだけ離れていてリアルタイムで情報が入ってくるメリットはかなり大きい。
そこに信濃から通信が送られてくる。
「マスター。覗き見してるです?」
どうやら同じ人格持ちである信濃は違和感を感じ取ったらしい。
「メティスの性能チェックでね・・・。嫌だった?」
「嫌じゃないのです。マスターにも私の雄姿を見てほしいのです」
そう言ってテンションが上がっている。
「無理しない程度にね」
「了解なのです。でも、まだ本気を出したことがないのでまだまだ余裕なのです」
信濃の性能が高すぎるのだ。
艦隊行動をしている以上、全性能をフルで活用する機会はそうそうないだろう。
何せ、全力で主砲を撃てば1発で惑星を破壊できるような威力をしているのだ。
そんな威力の主砲をほいほい使われては困る。
スペック上は機動力も高いがこちらも艦隊行動中に1艦だけ突出しても困ってしまう。
そういうわけで現在の状況は信濃からしたらかなり不満なのかもしれない。
まだまだ精神的には幼い信濃だ。
うまくケアしているであろうマーチェには苦労をかけるが頑張ってもらうしかないだろう。




