第百九十八話
俊は現状を考えエルフ達の取りまとめ役であるマーカスを呼び出していた。
「お呼びですかな?」
「実はご相談がありまして」
俊は現在の状況をマーカスに伝える。
「なるほど・・・。昔から野心の強い方でしたからな」
アビス公爵家の前当主であるマーカスは帝都にも何度も足を運んでいる。
その際に、ヴァルハントと会う機会は何度もあった。
接触するたびに協力しろと一方的に迫ってくることも多かった。
精霊の力を利用しようとしているのが明白だった為、距離を取ってきた。
「それで今後の方針はどのように?」
「散らばっているエルフの方々を再編しようと思います」
「人手が足りなくなりますがよろしいのですか?」
現在、エルフの船乗り達には宙域全体に散ってAI搭載の艦を率いて活動してもらっていた。
「活動範囲を縮小すれば一時的には何とかなるかと」
宙域の開発に影響が出るが強力な戦力として1つの艦隊として運用することを俊は決めていた。
「艦隊の指揮はマーカスさんにお任せします」
「そうですか・・・。謹んでお受けしましょう」
「ありがとうございます。それと乗っていただく船ですが・・・」
俊はそう言ってマーカスの端末に用意しておいた船のデータを送る。
「これは新型の戦艦ですか?」
「はい。信濃を建造した際のデータを元に量産型に落とし込んだ船です」
搭載しているのは核融合炉だが、その性能は今までの物よりも高性能になっている。
機関部の性能が上がったことで速力や主砲の威力も底上げされている。
これは明石が密かに改良を続けていた結果だった。
「あまり数が多くなくて申し訳ないのですが・・・」
今回、用意できた量産型の戦艦は11隻だ。
エルフ達の人数に対して全く足りていない。
現在もドックでは量産を続けているが実際の戦闘に間に合うかはわからない。
「いえ。この短期間にこれだけの船を用意していただけただけでも」
「用意できる船なら何を要求されても構いませんので」
「では、お言葉に甘えて」
マーカスはそう言ってリストから船を選ぶ。
その編成は攻撃力の高い船が中心だった。
「防御用の船は使わないのですか?」
「我々には精霊がいますからな。当たらなければいいのですよ」
そう言ってマーカスは言い切った。
かつて銀河帝国の艦隊を1隻で壊滅に追いやった話を思い出す。
突撃はエルフィンドの性格であると思っていたが実はエルフは全員がそうなのかもしれない。
マーカスは経験豊富であるしその指揮下にいるエルフ達も熟練の船乗りだ。
その存在が頼もしかった。
「船の方はすぐに引き渡すように指示を出しておきます」
「では、私は他の者が集まり次第、連携を確かめてきます」
マーカスはそう言って部屋を出て行った。




