第百九十四話
イクマはアルシェントの予想通りの動きをしている。
ここまで予想通りだと逆に不気味に思えてくるが方針を今更変えるわけにもいかない。
「お姉様。私はどうしたらいいですか?」
スーニャンがそう聞いてくる。
「貴方は退路を断ってちょうだい」
「うん」
スーニャンは素直に言うことを聞いて部下を連れて配置に就く。
アルシェントは端末でイクマの行動を監視する。
皇族の持つ端末は特別製であり皇帝や許可が下りている者は位置情報を取得したり映像をリアルタイムで覗き見ることが可能だ。
この機能は本来、皇族を守る為のシステムだが現在は監視機能として利用していた。
「はぁ・・・。絶対何かあるわよね」
イクマはアルシェントが監視していることはわかっているだろう。
だというのにこれだけ大きく動いたということは罠である可能性が高い。
「とにかく行くしかないわね」
アルシェントは部下を引き連れて帝都でも名の知れた犯罪組織であるパールの拠点に乗り込んだ。
「お兄様。何を考えているのですか?」
「やっぱり来たか」
帝都ではここ最近、正規のラインで作られている武器が非正規のルートで出回っていた。
帝都は治安を守る目的で武器の所持が厳しく制限されている。
その供給源の1つが今回、イクマが訪れている犯罪組織パールだった。
皇族であるイクマなら武器をいくらでもかき集めることが可能だ。
供給していたのはイクマで確定だろう。
だが、その目的がわからない。
「お金稼ぎが目的ではないですよね?」
「そうだね。お金には困ってない」
アルシェント達は皇族としてかなりの額が支給されている。
「これが目的でね」
イクマが手をあげると武装した男達が現れる。
正規の護衛から犯罪組織パールの構成員から様々だ。
パールの構成員が持っている銃は正規のものだ。
兵隊を集めるのが目的だったのだろう。
「私の排除が目的ですか?」
「隠居してくれてるなら見逃すつもりだったけど皇帝になるつもりだよね?なら、障害として排除するしかないじゃないか」
「はぁ・・・。これを見てもまだそう言えますか?」
アルシェントは1つのバッジを取り出す。
これはシュラバが発つ前にアルシェントに預けた物だった。
「それは・・・。皇帝の代理人の証か・・・」
イクマは苦虫を噛み潰したような顔をする。
このバッジの効力は抜群だった。
イクマの正規の護衛達が逆にイクマ達に銃を向ける。
「イクマ様。申し訳ありません。ですが、我々は皇帝陛下を裏切れません」
「お兄様。諦めてください」
アルシェントは最後通告を突きつける。
パールの構成員達はまだアルシェントに銃を突き付けているがイクマにもう勝ち目はない。
「っち。ここで終わるつもりはない」
そう言ってイクマはこの場から逃げ出した。




