第百九十二話
「俊よ。お主に頼みがある」
シュラバはそう言ってくる。
「頼みですか?」
「うむ。儂の連れてきた艦隊に宇宙生物を狩らせてはくれぬか?」
「宇宙生物をですか?」
「帝都に引き籠っていては腕が鈍ってしまうのでな。獲得した資源は全て俊のものじゃ」
腕が鈍るというのは嘘だろう。
皇帝直属の艦隊なのだ。
銀河帝国でも凄腕の船乗りの集まりであり、日々厳しい訓練を積んでいるはずだ。
この条件だと明らかに俊への援助が目的だ。
宇宙生物から採取できる資源は価値が高い。
売ってもいいし開発途上のこの宙域では喉から手が出るほどその価値が高い。
「お爺様。他の皇族から文句が出ませんか?」
「文句を言う奴は黙らせる」
どうやら甘やかしたくて仕方ないらしい。
「許可を頂いて開発はしていますが、元々お爺様の物です。お好きにしてください」
皇帝であるシュラバは元々、許可がなくても銀河帝国が支配する宙域を好きにする権限を持っている。
俊の許可などなくても狩ろうと思えば好きなだけ狩れるのだ。
「うむ。ならば好きにさせてもらおう」
シュラバは嬉々として連れてきている艦隊に指示を出しはじめた。
最低限の護衛は残すようだがその多くが宇宙生物を狩りに出動させられたようだ。
「お爺様。すみませんが政務が溜まっていますので・・・」
俊はそう言って政務に戻ろうとする。
「せっかくじゃからな。俊の仕事をぶりを見せてくれ」
そう言って満面の笑みを浮かべている。
「お恥ずかしいところをみせそうですが・・・」
俊はまだまだ勉強中の身だ。
銀河帝国を治めるシュラバからすれば子供の遊びにみえることだろう。
「伊達に銀河帝国を治めているわけではないのでな。こんな爺でも役に立つじゃろ」
これは色々口を出してきそうだなとわかってしまった。
だが、これほど優れた教師もいないだろう。
皇帝陛下、直々に学べるというのは貴重な機会だ。
「お爺様。よろしくお願いします」
俊はシュラバを連れて執務室に移動する。
しばらく俊が政務をこなす様子を眺めていたシュラバだったが懐から1つの機械を取り出す。
「俊よ。これを使うのじゃ」
そう言って機械を渡してくる。
「お爺様。これは?」
「1つ1つ自分で精査していては政務が終わらんのでな。文章を自動でチェックしてくれる機械じゃ。おかしなところがあれば教えてくれるでな」
俊は実際に機械を使ってみる。
するとおかしなところがある書類は自動的に弾かれる。
それだけでなく、作成者に修正箇所を指摘したうえで通知する機能まで備わっていた。
今までは俊が手動でやっていたことだが、この機械を使うことで負担はかなり減りそうだった。




