第百八十六話
「私から提案できることは3つあります」
レティシアはそう切り出してくる。
「3つですか?」
「はい。まずは未開発宙域の優先開発権です」
俊が現在、開発している宙域は銀河帝国に正式に認められている。
新たに開発する宙域を手に入れるには許可が必要だ。
隣接する宙域は現在、誰も開発していないがそれでも支配宙域を広げようと思ったら手続きが必要だ。
「続いて現在、俊様が所有する戦力の秘匿です」
「秘匿ですか?」
「はい。俊様の現在所有する戦力を正確に知っているのは銀河帝国内でも極わずかです。AIという不安因子がある以上、あまり大っぴらに知られるのは得策とはいえません」
「なるほど・・・。後々問題になるかもしれませんが時間は稼げそうですね」
時間をかけられるなら人材を育成したりスカウトしたりと現在のAIとの比率を小さくできる可能性はある。
悪くない提案だった。
「後は裏のルートで皇帝陛下に正式に戦力を認めていただくことです」
「皇帝陛下に?」
「はい。皇帝陛下が認められている。それだけで多くの者は攻撃手段として使えませんので」
最後の3番目の提案は最強のカードになりそうだ。
「こちらからも提案があります」
「何でしょうか?」
「明石達AIの人権を認めてもらうことは可能でしょうか?」
明石達はただのAIではない。
それぞれ独立した考えを持ち個性もある。
存在そのものは人工的に生まれた者でも俊は人と変わりないと考えていた。
「なるほど・・・。皇帝陛下にはお願いしてみますが確約はできません。それでもよろしいですか?」
「はい。話しをしていただけるだけでもありがたいです」
皇帝陛下は俊にとっては祖父になるわけだが、会ったことがないので性格はわからない。
だが、広大な宙域を支配する銀河帝国の皇帝なのだ。
無能であるはずがない。
AIの有能さも理解できるはずだ。
だが、同時に政治的な考えから認められない可能性もある。
今の段階ではどちらに転がるかはわからないがそれでも俊の考えを耳に入れるいい機会だ。
「では、交渉は成立ということでよろしいですか?」
「はい。宇宙生物を狩りに行っている戦力が戻り次第、計画を立てて調査します」
自由に動かせて戦力が安定しているのは女性陣の指揮する艦隊だった。
派遣されてきている親衛艦隊は練度は高い。
だが、俊の護衛が仕事なのだ。
俊の傍から離れることは認められないだろうし、俊自身が調査に出向くことを良しとしないだろう。
そうなってくると女性陣に頼むしかなかった。
「急ぎというわけではありませんのでお任せします」
レティシアは最後に俊と握手すると満面の笑みで去って行った。




