第百八十五話
「そうですねぇ。引き受けていただけるなら未開宙域の開発のお手伝いをしますよ」
現在も父親が領主を務めるマーキュリー公爵家と皇族である母のアルシェントから十分な支援を受けている。
そのおかげもあって宙域の開発は順調といっていい。
それでも支援はいくらあっても困らない。
表向きのポール貿易の支援だけでも助かるのは間違いない。
だが、この取引で重要なのは情報局として接してきているということだ。
少し無理なお願いでも聞いてもらえるだろう。
「開発しても人手が足りないですからね・・・」
そう言って支援の申し出を断る。
今、現在迎えている最大の問題は働き手の不足だった。
単純な仕事なら集まってくる移民だけでも十分な労力になる。
しかし、戦闘を行う宇宙船乗りだけはそうはいかない。
広大な宙域を守る為には艦隊の整備は急務だが、戦闘をこなせる宇宙船乗りは確かな腕が必要だ。
腕の良い宇宙船乗りは銀河帝国艦隊の軍人になるパターンが多い。
しっかりとした福利厚生を構築している銀河帝国艦隊の軍人というのは人気なのだ。
あと残っているのは冒険者だが、旨味の多い地域に定住する傾向が強い。
この辺の宙域も宇宙生物を相手にできるなら十分旨味があるのだが、それだけで冒険者が定住するわけではない。
船を確実に整備できる状況や娯楽の充実など生活の快適さも充実している必要がある。
船の整備能力に関しては問題ないだろうが娯楽といった面ではまだまだ弱い。
どうしても生活に直結する食料などのインフラが優先になってくる。
だが、冒険者の定住者を増やすために今後はそういった方面にも力を入れていくべきだろう。
後は地道に人を育てていくしかない。
とはいえ、畑で収穫するように簡単に増やせるようなものでもない。
「そうですねぇ・・・。では、現在の俊様はご自身の状況をどこまで理解していますか?」
レティシアは逆にそう聞いてくる。
「皇族として認められ未開発宙域の開発をしているぐらいですかね?」
「実は危ういことにはご気付きではないと・・・」
レティシアはそう言って言葉を止める。
「何かまずい状況なんですか?」
「AIが多すぎるんですよ。銀河帝国艦隊は古代文明が何故滅んだのかは知っていますから、AIが多すぎるのは危険視する層が一定数います」
明石にヴィービル。
信濃にメティス。
人格持ちのAIが4名。
それ以外にも俊の所有する艦隊には人格こそないがかなりの数のAIが配備されている。
指揮は人が担当しているがそれでもAIの方が多いのだ。
何かAI関連でトラブルがあれば滅亡してもおかしくない。
それを考えれば危険視されてもおかしくなかった。




