第百八十四話
俊の管理する宙域に依頼していた食料と水がポール貿易から届けられた。
だが、レティシアから直接会いたいと要請を受けて俊は取引現場に出向いていた。
「レティシアさん。食料と水。ありがとうございます」
「いえ。正式なお依頼ですから」
そう言ってレティシアは素っ気ない。
美人な上に有能でクールなイメージのあるレティシアは人気がありそうだった。
「それで、お話とは?」
俊はそう切り出す。
レティシアは周囲を見て問題ないのを確認してから口を開く。
「キリス星系で逃げた犯罪者達の動きなのですが・・・」
そう言って何やら言いにくそうにしている。
俊としても動きは気になっていたので情報が聞けるなら嬉しいが言いにくそうにしているということは良い情報ではなさそうだ。
「悪い知らせですか?」
「そうですね。俊様にとっては悪い知らせです」
レティシアはそう断言する。
深呼吸して心を落ち着かせて覚悟を決める。
「それで、行き先は?」
「大半は銀河帝国中に散ったのですが一部がこの宙域に隣接する未開拓宙域に逃げ込みました」
「未開拓宙域に?」
「はい。何も考え無しに逃げ込んだとは思えませんので生活できるだけの拠点がある可能性があります」
「確かにそれは嬉しくない知らせですね」
どれぐらいの規模の拠点があるかはわからないが統治に影響の出そうな話だった。
「俊様にお願いがあります」
そう言って上目遣いでこちらを見てくる。
クール美人なレティシアのその行動には普通の男だったらころっといってしまいそうな破壊力があった。
「レティシアさん。そういうのはやめてください」
俊はそうきっぱりという。
女性陣に誤解されたら死活問題だ。
「はぁ・・・。モテる男の人は違いますね。少し傷つきました」
そう言ってからかってくる。
「それでお願いというのは?」
「未開発宙域の開発候補地を探す名目で調査をしてもらえませんか?」
「正規ルートも裏のルートも使うのは難しいのですか?」
レティシアなら正規艦隊を動かすことも裏の艦隊を動かすことも可能なはずだった。
「正直、正規艦隊に予定外の動きをさせるのは難しいです。裏の艦隊も怪しまれれば今後の活動に支障がでます」
「なるほど・・・」
長期的な目線で見れば確かにどちらの艦隊も動かしにくいわけだ。
「それで、こちらにメリットはありますか?」
俊としては自分の宙域に関わる問題だ。
それだけで動く理由にはなる。
だが、こうしてお願いしてきているのだ。
少しぐらい自分達にメリットがあってもいいだろう。




