第百八十三話
元宇宙海賊の子供達の中に成人を迎える者が数人いる。
俊は忙しい仕事の合間をぬってその子供達に会いに来た。
「それで、やりたい仕事とかは見つかったかな?」
俊は子供達にそう尋ねる。
「俺達はやっぱり宇宙船に乗りたい!」
「僕も」
「私も」
宇宙船乗りというのは運用次第で大金を稼ぐことも可能だ。
だが、危険と隣り合わせでもある。
俊はスペースウォーの成績を眺める。
スペースウォーは銀河帝国艦隊が民間の中から素質のある者を探し出すために設計し運営されているゲームだ。
成績を見れば素質があるかどうか判断できる。
全員素質は十分ある。
実際、何人かは銀河帝国艦隊からスカウトが来ていたと聞いていた。
「銀河帝国艦隊ではなく、うちの私兵になるってことでいいのかな?」
「うん。家族と長期間離れたくないし俊様には恩があるから返したい」
「君達の意思はわかった」
俊は少し考える。
基本的に任せる仕事は支配する宙域での仕事だ。
内容によっては1、2ヶ月家族と会えない可能性はある。
だが、銀河帝国艦隊で働けば数年会えなくなるなんてこともありえる。
それを考えれば1、2ヶ月会えなくなる程度は何の障害もないのだろう。
「君達にはそれぞれ旗艦として軽巡洋艦を1隻。AI搭載の駆逐艦を5隻預けるね」
「俊様。本当にいいの?」
子供達は興奮しながらそう聞いてくる。
普通なら中古の船を与えられるだけでもかなり待遇がいい。
それを旗艦として軽巡洋艦を与えた上に指揮下に入る駆逐艦も5隻与えられる。
普通ならありえることではなかった。
だが、彼等は将来の幹部候補だ。
減らせるリスクは少しでも減らしたかった。
「後、任せる仕事だけどしばらくは採掘艦の護衛をお願いね」
「採掘艦の護衛?」
「うん。知り合いの冒険者に掛け合って指導を頼んでおいたから」
俊が声をかけた冒険者はドリトルからお金を借りて俊から船を買った冒険者だ。
最初は嫌がっていたが指導料を払うと言ったら面倒臭そうな仕草はしていたが折れてくれた。
指導という余計な仕事は増えるが実入りが増える上に戦力が増えるのだ。
戦力が増えれば増えるだけ活動中の危険は小さくなる。
彼等にとってもメリットがあるわけだ。
俊としては子供達に安全に経験を積みステップアップしてほしい。
お金で解決できる問題なら許容範囲内だ。
俊は最後にもう1度だけ子供達に覚悟を確認して船を引き渡した。
準備金としてお金も渡したのでこれで2日後には冒険者達と実際に仕事をしてもらうことになる。
念のため所有している艦隊にも採掘予定地の近隣で待機するように指示を出しておいたのでトラブルがあっても何とかなるだろう。




