第百八十二話
明石のやらかし以外には宙域内で特に大きな問題は起きていなかった。
監視の意味合いもあり、明石とメティスを執務室に連れていく。
マーチェも明石のやらかしには頭を抱えていたが起こしてしまった以上は受け入れるしかないと前向きに考えることにしたようだ。
他の女性陣もそれぞれ自分の仕事に戻っていったので一気に寂しくなった感じがする。
とはいえ、宙域内は常に成長を続け動き続けている。
課題はまだまだ多く、無駄に出来る時間はない。
俊とマーチェは協力して溜まっていた政務を片付けていった。
時間に余裕があれば視察なども積極的に行う。
それぞれの担当者は優秀なので口を出すことはあまりない。
それでも領主として視察は重要な仕事である。
最高責任者が常に見ている。
そういう状態を作ることで気を引き締める効果があるからだ。
現場からすれば時間を取られ迷惑かもしれないが諦めて付き合ってもらうしかないだろう。
そんなことをしていると2週間はあっという間に過ぎた。
キリス星系から移送されてきた人々の第1陣が到着する。
船を降りる際に簡易的な検査を行い、問題がないことを確認して予定通りに整備しておいた惑星雪風の区画に割り振っていく。
彼等には今後、適正に応じて仕事を受け持ってもらうことになる。
だが、それは今すぐではない。
環境の変化でそれぞれ戸惑いや疲れが溜まっているだろう。
その状態でストレスを与えることは避けたかった。
少なくとも計画では1週間ほど地上でのんびりしてもらう予定だった。
経済的な観点からいつまでも楽をさせることはできないがそれでも彼等はもう俊の領民だ。
虐げるような領主にはなりたくない。
効率だけを求めるなら領民なんていらないのだ。
全てをAIで賄いシステム化すればいいのだ。
だが、そこでヴィービルの教訓を思い出す。
かつての古代文明はAIに頼ったから滅んだ。
同じ轍を踏むわけにはいかなかった。
今現在、俊が知るだけでもアバターを持ったAIが4人存在する。
ドリトルの所有する戦艦のAIであるヴィービル。
俊の所有する工作艦のAIである明石に戦艦のAIである信濃。
そして明石が勝手に造ってしまった電子戦艦のAIであるメティス。
AI達にも人格がありそれぞれ考えもある。
俊としては人と同じように接したいが銀河帝国全体ではどのような判断になるかはわからない。
基本的にAIは優秀であり主人に忠実だ。
だが、それ故に危険視される可能性がある。
かつてのような悲劇を繰り返さない為にもAI達の動向には今後も注目していく必要があるだろう。




