固有スキルとフラグ
「固有スキルって珍しいものなの?」
思いきって聞いてみた。
「当たり前です。…あっ、言ってませんでしたね。すみません。」
「いいよ。俺も聞いてなかっただけだし。固有スキルの事を教えて。」
「はい。固有スキルっていうのは、ご主人様は、いっぱい持っていますが、一つあれば優秀な冒険者になれます。というか、普通の人が貴族になるには、固有スキル持ってないと、厳しいです。━━。」
マリンが固有スキルの事を教えてくれた。
マリンが言う事をまとめると、どんな固有スキルでも、持っている人やモンスターは、同レベルの中では格上になるそうだ。
普通は、レベルが上のモンスターと、ましてや、2つ以上離れているモンスターや人とは、戦いにもならないらしい。
それなのに、デーブルに勝ったり、作戦は失敗したとはいえ、オーク·ソルジャーと戦えたのは、多数の固有スキルを、持っているのが大きいと言っていた。
更に、固有スキルを簡単にとれる俺は、引くほど凄いらしい。
なるほど、【生死不定】をとったとき、苦笑いだったのは、ぽんぽん固有スキルをとる俺に、引いていたんだ。と思い、1つ謎が解かれた。
閑話休題。
ちょっと待て…あのオーク·ソルジャー、【性豪】持ってたな。
じゃあ、戦う相手が悪かったって事か…。
「ごめん。あのオーク·ソルジャー、固有スキル持ってた。戦う相手が、悪かったみたいだ。」
マリンとカンナの顔が固まった。
やっぱり、俺のせいだよな…。
「本当にごめん。まさか、固有スキルが特別なものだと、知らなかったんだ。」
再度、謝ると
「違うんです。ご主人様を責めてる訳じゃないんです。えっと…ご主人様…ご主人様は、固有スキル見れるんですか?【真鑑定】じゃ見れないはずなんですけど…。」
「そのはずだよ。他人やモンスターの固有スキルは、固有スキルの【固有スキル鑑定】や、それ以上の鑑定スキルじゃないと、見れないはず…」
そうなのか…。もう、いっその事話すか…。
俺が神スキルの事を言わないのは、最初は、信用できない為だったが、最近は、ただでさえ、厄介事があるのに、言ってしまうと、俺に手に負えない厄介事が、降ってきそうで言えなかった。
でも、俺を信用できなかったら、本末転倒だと思い、重い口を開こうとすると、
「良いんです。ご主人様の秘密なら、言わなくて良いんです。ただ、私は、どんな時でも、ご主人様に着いていきます。それだけ、分かってもらえば、それで満足です。」
「僕は、そんな秘密を聞きたくない。なんか、面倒臭そうな事に、なりそうだから…。」
カンナは、俺が気を使わないように、ああいう言い方なんだろう。…多分。
2人の気遣いに、感謝しつつ、もっと自分が強くなったら、絶対に教えようと思った。
「ありがとう。自分自身にもっと、自信を持てたら教えるから。それまで待ってほしい。」
頭を下げた。
「今でも、素敵なご主人様ですが、待っています。」
「僕は、本当に聞かなくていいから…。」
マリンは、俺の評価高いよな。それに応えれるように、頑張ろうと思った。
カンナがなにか言ったが、聞かなかった事にした。
「それじゃあ、明日また挑戦してみよう。それで今日は、少し鍛練して、寝よう。」
今回、レベルアップする事は、できなかったけど、俺達のパーティーの絆は、更に強くなったと思う。って、思ってるの俺だけじゃないよね?
3人での最近の鍛練は、俺がマリンと模擬戦をして、カンナが魔術を当てる。という事をしている。
この方法だと、俺とマリンは【魔力感知】の練習にもなるし、カンナは、魔術の練習になる。
魔術は、威力は変わらないので、魔術の精度と、当てるまでの戦術、この2つが魔術を扱う者の力量らしい。
細かい事をいえば、まだあるらしいが、魔術系以外のジョブが、気にする事ではないらしい。
師匠のパーティーメンバーも、師匠と模擬戦しながら、女将さんの魔術を受けていて、この鍛練のおかげか分からないが、【直感】をとれたらしい。
マリンも、【直感】をとれたら、【真感覚】になるので、固有スキルが増える。
マリンは、自分が固有スキルを、1つしかないのを、言葉には出さないが、気にしているようなので、真似してとれたらラッキー程度でやっていた。とれなくても、初めにいったように、【魔力感知】の練習にはなる。
鍛練をしていると、女将さんが、帰ってきた。
「早いね。レベル5には、なれなかったかい?私達も結構、苦労したからね。」
「はい。明日また、挑戦してみます。ハッピーモンスターに会えるかもしれないですし。」
「そうだね。出来れば、一週間でやってもらいたいが、無理なら無理で良い。」
「なんで、一週間なんですか?」
「実は、3ヶ月後に、街長会議があるんだ。さすがに、野良迷宮討伐するなら、2ヶ月は欲しいからね。そして、もし討伐できたら、その時に、迷宮討伐したと、言いたかったってだけさ。ただの見栄だから、気にする必要はないよ。」
「なるほど。頑張るだけ、頑張ってみます。俺も早く、マリンとカンナを解放してあげたいですから。」
「ありがとう。ただ、本当に無理はするな。それで、あんた達に会えなくなるのが、一番困る。」
「分かりました。俺は安定思考ですから、無理はしませんよ。」
「どの口が言ってんだい。」
女将さんが言うと、マリンもカンナも苦笑いだった。
俺だって、安心安全で暮らしたいけど、向こうから勝手にやってくるんだよ。と言いたかったが、反論が怖かったので、なにも言わなかった。
それで、奴隷の件も聞いてみた。
「私と一緒に、街長会議のある場所、【ブライゼン】に行くかい?会議の時期にオークションがあるよ。レベル4以上も出るからオススメだよ。」
「転移装置のモン力は、どれくらい貯めれば良いですか?あと、オークションって言ったら高そうですけど、いくらくらいで買えるんですか?」
会議なら、転移装置を使うはずだ。女将さんなら、自分の分は自分で集めな。と言いそうだからな。転移装置に必要な分は、自分で集めないといけないはずだ。
「もし、マリンをレベル5にしてくれたら、護衛として雇うつもりだ。その護衛料であんたも連れてってあげる。オークションは、ピンキリだからね、いくらってのは、難しい。」
「本当ですか?ありがとうございます。カンナは、連れて行かないんですか?」
「カンナは、連れて行かない。ボルドーもたまには、娘と一緒にすごしてあげようと思ってね。後、会議には、面倒臭い奴が来るからね。多分、カンナも嫌がるからね。」
師匠の下りで嫌そうな顔をしていたが、面倒臭い奴の話がでた瞬間、本気で嫌そうな顔をした。
「げっ…ただでさえ、護衛、面倒臭いのに…。僕はパス!お父さんと一緒にすごすよ。じゃあ…鍛練終わり。」
家のなかに、逃げていった。
そいつの話題だけでも、嫌なようだ。
「…あんなに嫌がるなんて、誰なんですか?」
「カンナの口から聞きな。」
ですよね~。
「とりあえず、マリンを、レベル5にしてからの話ですね。」
「そうだね。頑張りな。」
それから、カンナが、家のなかに逃げたので、鍛練を終わり、夕食の時に、カンナに、面倒臭い奴を聞いてみたが、教えてくれなかった。
そいつの話をした瞬間に、カンナの顔が、心底、嫌そうな顔をした。
しつこく聞けば、教えてくれるだろうが、俺には、そんな事できなかった。
俺も、ラティア様の事や神スキルの事、小学校の時を教えてないし、どんなに信頼していても、言いたくない事の一つや二つはある。
それに、この事を聞いたら、厄介事が起きる気がした。
カンナが、自分から俺に話して、厄介事が起きる分には、良いが、自ら、フラグを立てるのは嫌だった。
カンナが嫌な奴の事は、頭の隅において、いつものように、夜を過ごした。
カンナが、今日いろいろあったからか、いつもより、やる気があった。
明日…もう今日か…。マリンをレベル5にする為に頑張るぞ。出来れば一週間以内には、レベル5にして、オークションに行きたい。そして、会議までに、カンナもレベル5にしたいなぁ。
そんなこと思いながら、眠りについた。
お読み頂きありがとうございます。




