僕の楽園2 ~カンナ~
「ごめんね。明日にしか帰られないんだ。早く両親に会いたいよね?」
終わった。帰ったら奴隷になった事含めなんて言われるか、考えるだけで恐ろしい。
「いえ、大丈夫です。」
本心を言ったら、帰った時のリスクが高過ぎる。
「ご主人様には秘密よ。師匠は今、宿屋の女将さんもしてるんだけど、ご主人様は知らないから…。教えてあげたいけど、師匠が言わない方が良いって言うから…仕方なくね。」
この人、本当にあの男の事好きなんだなぁ~。主人と師匠の板挟みって感じで辛そうだな。
こんな風に現実逃避しても意味ない…。最後の希望があった。あの男が僕を買わなければ、大丈夫だ。と思っていると、奴隷の女が、主人に対して、買ってくださいと頼んでいた。
ちょっと待って、なんで奴隷に新しい奴隷を買うか、買わないかの選択権があるんだ?
「買うのは良いんだけど、見るからにやる気ないよ。」
そうだよ。僕やる気ないよとの事を脊髄反射で言っちゃった。
だが…マリンさんが私がやる気にさせます。って感じで言っていた…。
やる気でないのに…。
というかマリンさんなんで、奴隷解放するって言われているのに、断っているんだ。
その事に対してこの男、なんで解放に応じないのか、少しイライラしてるな。
そんななかマリンさんが甘えて、いいようにされてる事は分かっているけど、それで良いって感じだ。
だけど、一応マリンさんが調子に乗らないように釘刺したんだけど、マリンさんは、お母さんの事を言われてると思っているな。
はーっ…面倒くさい。
「なんか…会話は奇跡的に噛み合ってるが、意味は噛み合ってない気がする…。」
そんな僕の呟きは、誰の耳にもはいらずどこかに消えていった。
僕を買うのが決まって、奴隷商人は泣いて喜んだ。
値段は、800万フレだった。なんかいざ売れるとなると、その値段は悲しいな…。
やる気が出ないまま、買い物に行った。
【バフク】で【変装】と【真偽装】を解くと、そちらの方が面倒くさかったので、ブ男のままでマリンさんが僕の日用品を買っていたので、キモい男に綺麗な女性が女の物を買っている。というなんともヘンテコな買い物だった。
その事にこの人達は気づいているのか?
ここで僕がやる気を出したら、どういう絵になるのかを…。
そんな事もありつつ、宿屋に着いた。
僕は売れる気がなかったので、伽はできる契約にしていた。
2人はそういう関係だから、僕もしないといけないのか…と、ビビっていたが、なにもなく、男…いやもうご主人様か…が寝た。
ご主人様が寝ている時に、マリンさんからご主人様のいろいろな話を聞いた。
素直に2人とも凄いなと思った。
迷宮攻略では本当に2人ともお互いの良いところを出して、及ばないところを、カバーし合っているんだなと思った。
特に驚いたのは、ご主人様がお父さんの特訓に、耐えて生きているところだ。
あんな訓練していたら、寿命がいくらあっても足りない。しかも2回もしていて、貴族の決闘前夜の話では、そんな特訓内容を言われて、やります。なんて言うなんて、頭にうじ涌いてるんじゃないの?と思ったくらいだ。
まぁ、それをやったって事は、それだけマリンさんの事が好きなんだなぁと思った。
この時に、ご主人様呼びをマリンさんにお願いされた。
正直どうでも良かったので、了承した。
そんな話をしているうちに、ご主人様が起きた。
話には聞いていたが、実際の睡眠時間を見て、これでご主人様は、十分だという事実にとてもビックリしていた。
ご主人様が起きた後、伽しないといけないのか、と思い心臓がばくばくして、ご主人様を見ていた。
けれど、なにもする気がなさそうなのを見て、僕もベッドに入ったのだが、なにかされるかもと思うとドキドキしていた。
結局特になにもないまま、眠りについた。
目が覚めた時、マリンさんが僕を揺すっていた。
「カンナ、起きなさい。どれだけ寝ているの?」
これは僕が悪いので、マリンさんに素直に謝り、外に出る準備をしていた。
準備している時に
「マリンさん、ご主人様って不能なの?」
と聞いた。
最初は意味が分からなかったのか、違う事を言っていたが、意味が分かると
「そんな事ありません!!ご主人様は━━━。」
伽事情を詳しく話していた。僕の顔もマリンさんと同じくらい赤くなっているだろう。
最後にマリンさんが、
「ご主人様は優しいから、きっとカンナに気を使っていたのよ。さすがに、今日会ったばかりの人の前でなんて、あり得ないと思ってらっしゃるのよ。」
確かにその通りだなと思った。
「あとお世話になった、ボルドー様と師匠の子供って事で、気を使っているというのもあると思うわ。」
「前半はそうかもしれないと思うけど、後半はないよ。マリンさん。ご主人様は僕が、ボルドーやアンナの娘とはまだ気づいてないよ。」
正直に話すと、マリンさんからそんな事ない。ご主人様は気づいている。という話から、ご主人様のこういうところが、凄いなどのご主人様自慢が始まった。
マリンさん、マリンさんが言っている通りの人がいたら、その人はもう神様だよと思ったが、面倒くさかったので、相槌だけしておいた。
ただ、相槌だけでも疲れた。やる気がなくなった。
その時に、奴隷としてどうあるべきかビシバシ鍛える。と言ったらしい。
やる気なしで【バフク】を出て、特に何もないまま、2日目の夜に【アナライ】に着いた。
お母さんより先にお父さんに会いたかった。というより、お母さんに会いたくない。
ご主人様は僕の正体に気づいていない。お父さんは僕に甘い。お父さんに頼まれれば、解放してくれるだろう。その時、お母さんがいれば、絶対に許さないと思う。
だからお母さんに会う前に、解放されて、この街から逃げられる。そう思っていた。
「ダメです。カンナは私と一緒に行きます。女将さんに報告しに行きましょう。ご主人様と2人きりなんてダメです。なにか魂胆があるんですか?」
急いで違うと言った。
「ないなら、行きましょう。」
急いで、頷いた。
僕の考えに気づいているのか、ただの嫉妬なのか分からないが、どちらにしても怖かった。
マリンさんと一緒に宿屋に行き、お母さんに怒られ、続きは後でって事で、お父さんとご主人様のところに行った。
行くと、お父さんがお前は甘いとご主人様に言っていた。その時に、ご主人様は女性に甘いのか…。だったら楽ができるな。と思っていたが、お父さんがそれではダメだ。と言って、僕はマリンさんに教えてもらう事になった。
マリンさんは悪い人ではない…というか良い人だが、ご主人様が関わると、とても厳しくなる。それじゃあ、楽できない。と思い、そんな事になった原因をにらみつけた。
お父さんがお母さんにボディーブロー受けた後、これからの話になった。
お父さんの防御を破る攻撃力は、どこから来るんだ?
これも、ステータスに出ない力か…。と、どうでもいい事を考えてると、ご主人様はよりによって、本人の目の前でお母さんの悪口を言っていた。
やっぱり、僕やお母さんの正体知らないなと確信した。
このあと、マリンさんとお母さんに、生活習慣のダメ出しなどをされた。
これで僕は、囚われの人生か…。なんて考えていた。
逃げられる最後の手段も、マリンさんに封じられ宿屋に着いた。マリンさんは、楽しそうにしていた。それが、僕の考えを読んだからなのか、ただ単に僕といるからなのかが、僕には分からなかった。
後者の理由だったと思いたい。前者なら怖すぎる。
しっかり腕を組まれていたので、痛かった。
宿屋でお母さんが僕と寝る事になった。部屋を分ける時に、お母さんがセクハラしていていたらしいが、このあとの事を考えていたので、聞いていなかった。
でも、お風呂は気持ち良かった。
マリンさんに教えてもらいながら入った。その際、
「カンナ、カンナはご主人様の事好き?」
そんな事なかったので、別に…と答えた。すると、
「できれば、あなたも伽に参加しない?正直、私だけで満足してもらえてないと思うの。いつも私が先にヘロヘロになっちゃってる…。ご主人様優しいから、私に無理させないようにしてもらってるから…。」
そんな事、急に言われても困る…。契約上は求められれば応じないといけないが、自分からはキツイので断った。
お風呂から上がった後、お母さんにいろいろ聞かれ、がっつり怒られていた。
多分、無理だと思うが、お母さんに僕を解放するように、言ってくれないか頼んだ。
すると、烈火の如く怒られ、そんなに怒らなくても良いじゃんと思っていた。
お母さんの怒りが衰えず、怒られてる時に、違う部屋からマリンさんの声が聞こえてきて、微妙な空気になった。
そのおかげで、怒られるのが終わり、なんか恥ずかしくなったが、疲れていたのか、割と早く寝れた。
目が覚めると、まだやっていて、寝起きが悪い僕には、珍しくすぐに目が覚めた。
これは…マリンさんも大変だ…。と思って、顔が熱くなった。
お母さんは起きていて、朝食の準備をしていた。
「カンナも手伝って、ジンが朝食をたべたら鍛練をするよ。カンナがどれだけ鈍っているのか見ないとね。」
朝食の準備中、ご主人様の事を、聞かれたが、分からなかった。
「カンナなにも聞いてないのかい?」
僕、ご主人様の事、あまり知らないな。
だが、なにか悔しかったので
「お父さんの弟子とか、マリンさんを助けた事は知ってるよ。」
「あんた、信用されてないのかもね。まぁ、カンナも信用してないから仕方ないね。」
確かにその通りなんだけど、その言葉に少なからずショックを受けた。
※マリンはご主人様第一です。本当は他の女性と寝ると嫌ですが、自分だけで満足させれてないと気にしています。カンナと一緒ならまだ良いと考えて、提案しました。
早く言えばしつこいジンのせいです。
※女将さんは、ジン達しか客が来なくなった時から、始まったら睡眠妨害になるので、自分の家に帰っていました。




