【魔力感知】
カンナ達の事がわかって3日目、カンナは魔術の鍛練は真面目にやっているらしい。
らしいと言うのも、俺には魔術の鍛練が、楽をしているようにしか見えないが、女将さんが言っていたので間違いない。
それで今日、初めてマリンとカンナの2人と一緒に、迷宮に来ていた。
今日は昼過ぎからの攻略だったので、流す程度で十三階層から攻略していた。
「マリンこいつ抑えてるから、他をお願い。カンナもマリンを手伝って。」
いつものように、モンスターパーティーで1番厄介なモンスターを俺が抑えて、他を先にやっつけてから、抑えていたモンスターをぼこぼこにする。作戦をしようとした。
「はい。」
マリンが返事をして、カンナは頷くだけだった。
俺が抑えていると、向こうから
「カンナ!なんで私に攻撃するの!?」
「そこにいるから。」
えっ!?そこに山があるから、みたいな事?
そこにマリンがいたから、攻撃した。って事?
なんで、そんなに仲が悪いんだ?普段は仲良いと思っていたのに、どういうことだ!?
とりあえず、カンナに自分だけ守ってもらい、俺とマリンでモンスターを倒した。
ドロップ品を拾った後、
「カンナ!マリンにわざと攻撃を当てたのか!?」
「面倒くさい…」
そんな事言うカンナにキレそうになったが
「ご主人様、カンナは敵に攻撃しようとして、斜線に私が入ったみたいです。」
なるほど。そういう意味か。
マリンはさっきので良くわかったな…。俺の理解力がないのか?…
「カンナ、魔術の斜線に入ったのは私が悪かった。でも攻撃する前に声をかけてって言ったでしょ。どうしてしないの?」
優しく聞いていた。
「そうだぞ。カンナ、攻撃魔術は俺達に当たると危険だ。それを防ぐための声かけだ。」
「面倒くさい。」
カンナ?声をかけるのが、面倒くさいだけだよね?俺やマリンがじゃないよね?
そんな会話がありつつ、攻略していた。
火力が増えたし、攻略も順調に進むかに見えたが、逆だった。
連携がうまく行かず、マリンと2人の方が戦いやすかった。カンナと一緒にではなく、カンナの攻撃を防ぎながら攻略しているみたいで、戦いにくかった。
実際にフレンドリーファイヤも、いくつか喰らいそうになっていた。というか、さっき俺が喰らった。初級風魔術【ウィンド·ショット】を喰らった。スゲーいたかった。
これが、風以外だったらと思うと、怖い…。
そして、マリンの顔も怖い。フレンドリーファイヤ喰らったのは、俺なんだけどね…。いや、俺だからか…。
「カンナ!魔術使う前に声をかけてって言ったでしょ。」
「なんか面倒。」
相変わらずやる気がない…。
「面倒って…それじゃどうやって連携とるの!?」
「それはそっちで考えて。」
なんだそれは!!と怒りたかったが、カンナに意味ないだろう。と諦めた。
どうするか…。このままでは、事故が起こりそうだ。とりあえず今日は終わりにしよう。
師匠や女将さんに相談してみるか…。師匠は自分で考えろって言いそうだな…。
「今日はここまでにしよう。次の転移装置で帰ろう。」
マリンは怒り足りないのか、しぶしぶといった感じで、カンナはいつものようにやる気ない感じで頷いた。
カンナに攻撃しないように言って、十四階層を進んでいき十五階層の転移装置で帰った。
迷宮を出ると、もう夜だった。
あそこが閉まってるなら、もう夜中か…。いつもなら、もっと攻略進んでいたのに…
宿屋に向かう途中、反省しながら帰ったが、カンナは参加しない。ふて腐れてるみたいだ。どうしたもんかな?と考えながら、宿屋に着いた。
お風呂に入って、夜食を食べて、それで寝た。
目が覚めて、マリンが起きていたので、どうしてか聞くと、カンナの様子が気になると言ったので、一緒に女将さんに相談した。
「それは困ったね。普通の魔術師は詠唱があるから、魔術で攻撃するのは分かるけど、カンナの場合、中級魔術以下だと【詠唱破棄】しちまうからね。」
そうだった。俺もそうだが、【詠唱破棄】って、パッシブだからな。詠唱できないのか…。俺があまり魔術使わない…というか、ソロの時以外は使ってないから忘れてた。
「魔術を使う前に、言う事は出来ないんですか?」
「それだと、敵にも知らせてしまうからね。魔術士は、あまりヘイトを集めるのを良しとはしないんだよ。だから、普通の魔術士なら守られながら、詠唱するんだ。それで、魔術士が【詠唱破棄】を覚えるならその前に、他のジョブは【魔力感知】覚えるからね。さほど問題ないんだよ。」
そうか…。そういえば、マリンは覚えてたな…。俺も覚えているけど【魔神経損傷】だから意味ないんだよな…。
だから、マリンに当てそうになった時、マリンは避けられたのか。
俺もマリンも魔術師とパーティー組んだ事ないから、うまくいかないのカンナのせいにしてたけど、カンナ全然悪くなかったのか…。そりゃあ、そっちで考えてって言うわ。
「そういえば、俺が【魔神経損傷】の事言ってなかった…。」
「私もご主人様以外と一緒に、パーティー組んでなかった事言ってなかったです。少し盛って話をしたかもしれません。」
それは俺もだ…。
盛ってはないが、弱点を話してなかった。少しでも良く見せようとして話してなかった。
ってか、俺のせいじゃん。俺、お荷物になっているじゃん。
そうか…。俺は主人公じゃなかったんだな…。マリンをデーブルから救って、カンナを奴隷商店から見つけたりしてたから、なにか勘違いしてたみたいだ。
今思えば、カンナがいた奴隷商店入ろうって言ったのマリンだった。マリンが主人公か、それか女将さんのおかげで━━。
そんな意味ない事に悩んでいると、
「1番早いのは、カンナに攻撃する前に、声がけしてもらう方が早いよ。」
女将さんが言った。
確かに、カンナに攻撃してもらう前に、言ってもらうのが1番早いけど、俺のせいで、カンナにリスクを負いさせたくないな。カンナを守りながらだと、他にリスクを負うし。
「他に方法って分かりませんよね?」
女将さんに無茶振りしてみた。
「確実じゃないけどあるよ。」
なんですと…あるのか…。やっぱり、女将さんが主人公じゃん。
それはおいといて、
「どういう方法なんですか?」
「そうだね…。ジンの【魔神経損傷】は多分、目と脳の神経が損傷している。だから、記憶喪失や【魔霊眼】が使えないんだ。」
確かに、キレイだった魔素が見れなくなったり、ラティア様の光で覚えた事を、忘れたんだもんな。
「でも、生活魔術や初級魔術は使えるって事は、他の神経は大丈夫なはずだ。だから、体の神経で魔力を感知させる。」
なんか嫌な予感がする。
「だいたいの武士系は、モンスターなどの魔術攻撃を喰らって覚えるから、魔術を喰らえば、恐らくは…って感じかね。」
やっぱり…この嫌な予感は当たるな…。
あの痛い攻撃を喰らうのか…それで、どのくらい喰らえばいいのかがわからないな…。
「どのくらい喰らえば良いですか?」
「そうだね…言いにくいんだけど、普通は10回も喰らえば覚えるよ。」
10回か…だが思ったより少ないな。なんで女将さん言いにくいんだ…。…あっ!普通で10回って事は、俺の場合は1000回なのか!
「…女将さん、普通で10回って事は?」
「ジンの場合は、それの100倍だろうね…。」
ですよねー。
あれを1000回か…それで覚えられない可能性がある…。確率はどれくらいだろう。ダメだ。確率を聞いてもどうしようもない。例え、99%の確率で覚えるとしても、俺なら1%を引いてしまう気がする。
「ご主人様危険です。カンナに声がけしてもらいましょう。」
マリンはそう言うけど…そうだな。喰らいまくるか…。カンナに声がけさせても、余計なリスクを負うだけになるし、そもそもカンナ声がけしそうにないし、その声がけをどうにかしないと、いけない時がいつか来る気がするから、挑戦しよう。
「女将さん、頑張ります。魔術は、カンナに頼んだらいいですか?」
「そうだね…。本当にやるのかい?」
なんか引いているんだが…
あんたが言ったんだろう!と言いたいが言える訳もなく、
「はい。結局は俺のせいなんだし、その俺だけ頑張れば良いだけなんで…一応言っときますけど、俺はMじゃないですからね!!」
マリンの顔が赤くなった。あの日の事を思いだしたんだろう。
「それは、わかってるよ。…ありがとね。」
良かった。またマリンに鞭持ってこられたら、困ってしまうからな。誤解は最初だけで十分だ。
なんか言ってたけど、まさかまだ疑ってるのか?だが━━。
そんな事考えていると、カンナが涙を浮かべ立っていた。すると、
「ご主人様ありがとう。」
なぜかお礼を言った後、カンナが急に俺に抱きついていた。
カンナの頭を撫でた。カンナの耳は気持ち良かった。
すると、カンナがビクッとしたので
「ごめん。」
「ジンそれは…」「ご主人様…」
謝って手を離そうとする時に、マリンと女将さんが驚いて、なにか言おうとしたが、
「そのまま撫でて。」
カンナが言ったので、撫でた。
やはり女心は謎だ…など考えながら、これなら面倒くさがらずに付き合ってくれるか…と思っていた。
カンナの気の済むまで頭を撫でつつ耳もモフッていた。
カンナの耳は気持ち良かった。
この後、大変になるとは思わずに…。
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