マリンとカンナ
気になるが、マリンと約束したからな、聞かないでおこう。だが、見ていよう。それで見ていると、カンナの顔が、青くなって耳が垂れ下がっていた。
マリンなに言ったんだ?と思っているうちに、話が終わったようだ。
「ご主人様ありがとうございます。話はすみました。」
マリンはなにかスッキリした顔をしながら、それとは対称的に、顔が青く、耳は垂れ下がったままだ。
「それで、知り合いだったの?」
「いえ、違います。でもお世話になった人の知り合いでした。それで、昨日の俺にできる事があったらって、話はまだ大丈夫ですか?」
知り合いって誰だろう?と思った。
それより使ってくれるのか。マリンの事だから、あまり期待してなかったけど、少しは頼ってくれるようになったのかな。
そう聞くってことは、話の流れからわかるけど…
「大丈夫だけど…なに?」
一応確認した。
「はい。カンナを買ってください。」
やっぱりな。
「買うのは良いんだけど、見るからにやる気ないよ。」
俺が言うと間、髪いれずに、
「やめてください。買わないでください。お願いします。やる気ないです。」
耳が、ピンと伸びて言った。
なんだそれ…。さっきから、やる気がない事にやる気だすって…。
「私がやる気を出させます。迷宮にも必ず連れていきます。」
なんか、妹を世話するお姉ちゃんみたいだな。
これは、チャンスか?
「マリン、そこまで言うなら、マリンが買えば良いんじゃないの?」
「奴隷に奴隷は持てません。」
それは、分かってる。
「だから、解放するからその後、こうぅ…」
それを言うと、いつものように沈んだ顔をした。そのあと
「ご主人様は、私の願いを聞いてくれないんですね…。」
はーっ…。俺ってチョロいな…。惚れた弱味か…。
「わかった…。わかりました。買うよ。それでマリンも奴隷のままだ。それで良い?」
「はい!ありがとうございます。ご主人様。」
マリンも俺の事、チョロいと思われてるかもな。ここは一言、言っておかないとな。
「なんでそこまで欲しがるかは、分からないけど、俺はそこまで鈍くないからな。」
マリンが青い顔していた。やっぱりそう思ってたみたいだな。ちょっとショックだけど、ここは、毅然とした態度でいないと男として。
「気づいてらっしゃたんですね。申し訳ありません。約束なのでお願いします。」
そうだな、マリンがやる気ださせると言ってたし、戦力増強するから、買うのは良い事だな。
「いいよ。俺の為でもあるしね。」
「そうなんです。ご主人様の為でもあったんです。でも、許してくれて、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしく。」
マリンと抱き合った。マリンが泣いていた。そこまで気にしなくていいのに…。
俺が言って、利用してるって気づいたのかな…?
抱きしめながら、頭を撫でて慰めていた。
「なんか…会話は奇跡的に噛み合ってるが、意味は噛み合ってない気がする…。」
カンナが何か言ってたが、マリンとの事でいっぱいで聞きとれなかった。
そうしてカンナを買った。奴隷商人は涙を流していた。きっと全然売れなくて、維持費だけかかり続けたのだろう。
鉱山奴隷がキツイと小説では、書いていたけど、この世界、鉱山ないもんな…。
お値段なんと、800万フレだった。最低1000万フレってクルカさん言ってたのに…。
多分、奴隷商人は真っ赤かな字だろ。
奴隷商店を出たら、まだ夕方だったので、カンナの日用品を買って、宿屋に戻った。
日用品買う時も、マリンがカンナのお世話をしていた。
カンナの装備品は【ボックス】に入っているらしいので、買わなくてすんだ。
カンナも同じ部屋にいたから自重した。
カンナを違う部屋にすると、逃げそうだったので、同じ部屋だった。
俺から先に寝て、俺が起きてしばらくしたら、カンナは諦めたように、眠りについた。
寝て、MPが回復したので、カンナをスキルだけに限定して鑑定した。
【九狐の血】:伝説の狐の血を受け継いだ者。騙す事にかけては超一流。
【偽装】【変装】【魔力超強】【詠唱破棄】のスキルを得る。その他の魔術スキルを統合する。
凄いな…。それでカンナの【偽装】は【真偽装】になっていた。
それで、【詠唱破棄】のスキル以外を見てみよう。
【真偽装】:ステータスを偽装する。格上の鑑定でもばれない。
【変装】:レベルの数だけ姿を変える事ができる。
【魔力超強】:MP INTが50%増える。
なるほど、だからカンナはばれなかったのか…。
次を見よう。
【真感覚】:感覚が鋭い者。普通の者よりいろいろな事を気づく。
【危機察知】【直感】と感覚的なスキルの統合スキル。
【超感覚】の下位互換かな。
カンナは後、【味覚強化】と【触覚強化】をとれば、【超感覚】になるみたいだ。
【触覚強化】のスキル書ないらしいから、自力で手に入れないといけない。だからカンナは一生このままだろう…。
その他にも、魔術はもちろん、いろんなスキルを持っていた。
なんと、上級火魔術を覚えていた。…羨ましい…。
これで、本人にやる気があれば…。
買い物の時も、自分が使う物なのに、マリンに全部まかせてたし、困ったものだ。
でも、本当に姉妹見たいだな。
今も2人で仲良さそうに寝ていた。それを見てほっこりしていた。
マリンが起きてから、部屋で朝食を食べた後でも、カンナが起きてこない。
マリンがカンナを起こしに行った。俺も行くと言ったが、先に宿屋の入口でお待ちください。と言われたので支払いを済ませて、そのまま待っていた。
しばらく待つとやって来た。
「お待たせして申し訳ありません。…ほらあなたも謝るの。あなたが待たせたのよ。」
マリンが頭を下げた。そのままカンナに謝るよう言っていた。昨日はそんな事させなかったのに…。どうしたんだ?
「申し訳ありません。」
しぶしぶカンナも頭を下げた。
だが、今のカンナは最初に会った姿でいる。年上に頭下げさせてるみたいで落ち着かない。
「大丈夫。2人とも頭を上げてくれ。」
2人が頭を上げたところで、
「マリンどうしたんだ?昨日はそんな感じじゃなかった。なにがあったんだ?」
「昨日は初日という事と、共通の知り合いがいたので、甘やかしましたが本来奴隷が、ご主人様にご迷惑をかける事はあってはならないんです。それから━━━━。」
マリンの奴隷のあるべき姿を話していた。正直どうでも良かった。
俺は人の事を物だとは思えないし、マリンがそんな話をするのが悲しかったので、途中から聞いてなかった。
すると、
「マリンさん、ご主人様はマリンさんの話を聞いてません。」
こいつ…マリンの矛先を俺にむけやがった。
マリンが悲しそうに、こちらを見た。
「なに言ってんだカンナ。ちゃんと聞いていたよ。俺がマリンの話を聞かない訳ないだろ。」
マリンが嬉しそうに微笑んでくれた。助かった。
…嫌な予感がして、カンナの口を手でふさいだ。
「それじゃ…うぉーーわぉーうー。」
危なかった。これでクイズ形式で出されたら絶対にわからない。
「マリン、もう良いよ。マリンの話は聞いてて悲しくなる。マリンは自分の事、奴隷って思ってるかもしれないけど、俺はそう思った事、一度もないから…。カンナ、おいおいがんばるよな。」
素直な気持ちを言って、この話題から離れよう。
カンナも首を縦に振っていた。
顔を赤くしながら、
「ご主人様がそうおっしゃるならこのくらいにしておきます。」
助かった。俺が一応主人なのに、こんな中間管理職みたく板挟みになりながら、これから2人と生活しないといけないのか…。
未来に不安を感じながら【バフク】を出て、【アナライ】にむかった。
お読み頂きありがとうございます。




