じん生、思い通りにはいかない
すみません。少し遅れました。
【ラディス】に行く事を決めて2日後、いろんな人に旅立つ事を話した。…と言っても、女将さんとクルカさん、マリンの両親、お風呂場を作ってもらった、大工さんの5人だけだが…。
マリンに転移装置はないの?と聞いたら、あるが貴族しか使えないらしい。
貴族が使うと言っても、使う時は会議や緊急の時以外は、使わないらしい。
迷宮よりもモン力を使うので、自分で溜めたモン力ならともかく、そうじゃない貴族は、他の貴族や住民から、白い目で見られるらしい。
ハゲ豚は、マリンに会いに来た事も含め、使って来たらしい。
決闘が終わって、使わせてくれと言われたので、街長が、がっつり金をとったようだ。
マリンが街長から聞いたようだ。
出発する日の朝が来たのだが…
「ご主人様!やっぱり【バフク】に行きましょう。」
「どうして?」
「街長様が、ご主人様とボルドー様の会話を知って、激怒してるんです。ボルドー様には子離れしろって。ご主人様は…」
「ちょっと待って!俺にまで怒ってるの?一度しか会ったことないのに。」
「はい…。ボルドー様への怒りよりはマシですけど…。」
「そんな事言われる筋合いはない。文句言ってくる。」
「やめた方が良いと思います。どうしても納得できないなら、行く前にボルドー様に、会ってからにしてください。」
「そうだな。師匠と一緒に文句を言いに行こう。」
「そういう訳じゃないんですが…。」
なんか、マリンが言ってたが聞こえなかった。
それで、師匠が門にいるということなので、門に向かった。
門に行って、ボルドー様の姿を見て驚いた。頭に包帯巻いて、近付くと、胸あたりからも包帯が見えた。
「師匠!大丈夫ですか!?凄い怪我してますが、モンスターや犯罪者が来たんですか!?」
周りを見ながら言った。
「…大丈夫だ。ウチのにヤられただけだ。」
師匠の顔が赤くなって言った。…おっさんの照れ…気を取り直して。
「えっ…、ウチのって、街長の事ですか?…し、師匠ってこの街で、一番強いんじゃないんですか?」
確か最初に会った時に言っていた。
俺の後ろの方を見て、青い顔になりながら、
「…そ、それは…それは俺の間違いだったみたいだ…。」
もしかして、街長がいるのかと思い、後ろを見たがいなかった。
師匠の怪我を見て、それでも納得できない俺は、小さな声で、
「…そ、そうなんですね。でも、なんで俺が決めた事、いちいち指図されなきゃいけないんでしょう。」
「すまんな…。俺がお前の相談にのった事を話したら、なんか感じとったらしい。それで問いただされて、白状したら激怒した。お前には、自分が決めた事を、俺が言ったくらいで変えるな。って事で怒ってる。…怒らないと言ったのに…。」
最後に何か言ってたが…、気にしないでおこう。
街長の言う事は確かにそうだが、厳しいな…。それに…
「し、師匠はなんで、そんな怪我をするくらい怒られたんですか?」
「決めた事が間違ってはいないのに、自分が都合の良いように、師匠が変えるような事をするなって事みたいだ…。」
確かに…。街長は筋通ってないこと嫌いなのかな…。
「…それじゃあ、【バフク】に行った方が良いですか?」
「そうだな。そうしてくれ。すまんな…。」
「わかりました。自分の意思で【バフク】に行きます。」
自分の意思で行くんだ。決して師匠の怪我を見て屈したんじゃない。…ちょっとはあるかもな…ちょっとだけ。
という訳で、行き先は【バフク】になった。
それを、4人に言いなおしに行った。
大工さんは最初に報告した時、なんで…って顔してたから省いた。仲良くなったと思ったのにな…。
女将以外は特に変わりなかったが、なぜか女将さんだけは、機嫌が良くなったように感じた。
3ヶ月いると、顔は相変わらず無愛想だが、なんとなくだが、機嫌の良し悪しが分かるようになった。
もちろん、その事を言うつもりはない。それもなんとなくだが、言わない方が良いだろう。
【バフク】の街に向かって、なんだかんだで、昼過ぎに出発した。
【バフク】まで、約3日で着く。
こういう時って、盗賊とか強いモンスターが出るんだよな。と警戒しながら、向かっていた。
特になにもなく、夜になり、先に寝かせてもらって、起きたら、夜番を交代した。
もちろん、この道程は、自重するつもりだ。
夜番は、しっかり【気配察知】をレベル3にして、周りを警戒していた。が、レベル1のモンスターの気配を感じただけで、なにもなかった。
結局なにもないまま、3日後の昼に【バフク】に着き、門番ともなにも揉めずに、【バフク】の街に入った。
無事に着いたのは良かったが…なんだかなぁ…。
気を取り直して、有名な宿屋、【宿屋 赤ランプ】に宿をとりに行った。
【宿屋 赤ランプ】は、ランプ系列の宿屋で、【アナライ】にも、黄、青がある。
属性の色になっている。色によって、グレードが違い、白→黒→黄→赤→緑→青の順にグレードが高い。
黒は、複数の迷宮がある街にしかなく、白は4つの迷宮がある街しかない。
白と黒、黄は、貴族または貴族の連れ、貴族のお客じゃないと泊まれない。
今回泊まる【赤ランプ】は、貴族以外で一番グレードが高い。
今回は、3泊しかしない。今から、迷宮に少し潜ってみて、とれたら、ラッキーで、本命は書屋に行って、買うつもりだ。
だから、奮発してみた。1泊1人10万フレだ。
接客もどこかの女将と違って、とても良い。部屋に入ると、ダブルベッドや収納スペース、モン力が補充されているランプなどのモン具があった。
食事がもう少し美味しくて、風呂があれば完璧だったのに…。
俺の舌が安いだけかもしれないが…。
ちなみに、【ヤスラギ亭】にランプのモン具は無かったので、自分で買った。
暗いと、いろいろ困るからな。
閑話休題。
マリン今日は寝かせないぞ!と決意して、荷物を置き、迷宮に向かった。
出てくるモンスターは、【アナライ】の迷宮と変わらなかった。というか、迷宮は一部を除いて同じだそうだ。
変わったのは、階層数と一層あたりの広さ、転移装置の置いてある間隔くらいだった。
広さは、俺達が攻略している階層だけかもしれないが。
【バフク】の迷宮は、四十七層だが、広さは【アナライ】の迷宮の半分以下だった。転移装置は四の倍数に置かれていた。
俺達は二十四階層から攻略して、三十階層に来ていた。
二十四層はレベル2、3で、三十層はレベル3ばかりでたまにレベル4がいる。
5日ぶりの戦闘なので、軽めにした事と今回の目的は、スキル書なので、無理する必要はない。
この迷宮は、俺と相性が良かった。
進んでいると、ほとんどのモンスターの位置や罠、宝箱の位置がわかった。
ここで初めて、【索敵】が活躍した。
まず【超感覚】で、いろいろなものを感じて、その後に【索敵】をすれば、【超感覚】で感じて、【索敵】にかからないものは、宝箱だった。
ほとんどの宝箱はとれたと思う。
【アナライ】の迷宮でも、試してみよう。
宝箱の中は、ほとんど【身体強化】系で、たまに装備品がでてくる。20個以上拾ったが魔術書は出なかった。
マリンは統合スキルの【身体強化】になり、【龍鱗】と統合された。
俺もあと【肉体強化】をとれば、【身体強化】になれる。
なぜだか、全然出ない。あとひとつになって、宝箱5個開けたのに出ない。なんでだ…。
さらに、宝箱5個開けたが結局出ないまま、三十一階層で荷物がいっぱいになったので、三十二階層で帰った。いいさ…。書屋で買えば、良いだろう。
迷宮を出ると、朝だった…。しまった…。良く見るとマリンが疲れた顔をしていた。
「ごめん。マリン…。マリンの事を、宝箱に夢中になりすぎていた。マリンをないがしろにしていた。」
【魔の深淵】と【夙興夜寝】も考えものだな…。
「大丈夫です。【ヒール】してもらってましたし。それより、混む前に、早く冒険者ギルドに行きましょう。」
確かに【睡眠不足】は出てないけど、精神的にはキツイだろ。
【ヒール】や回復薬で、欲求の状態異常を回復していると、【精神汚染】になるらしい。
【精神汚染】を回復するのは、かなり大変だ。と、あの師匠が言っていた。
「本当にごめん。代わりになにかして欲しい事があったら言って。可能な限り叶えるから…。」
「いえ、だい「遠慮はなし。」え、えっと、それじゃあ、宿屋に戻ったら、お情けをください。」
顔を赤くしながら、言った。可愛い…。
その言い方もやめてって言ったのに、やめてくれないんだよな…
それはともかく、
「それは、こちらがお願いしたい。」
などのノロケを言いながら、冒険者ギルドで換金して、宿屋に戻り…。
約4日ぶりで、いっぱい頑張りたかったが、マリンの事を考えて、一回戦で終わり寝た。
マリンの事を本当に考えるなら、しない方が良いのかもしれないが、俺は早いから大丈夫だろ…(泣)…。
目が覚めると、まだ昼間だった。マリンは休ませて、書屋に行った。
なぜか、【肉体強化】だけ無かった…。書屋は2つあるのだが、どちらも無かった…。その他も、めぼしいものは無かったので、宿屋に帰った。
なんか、泣きたくなった。
そうだ。明日マリンにおつか…やめよ俺が考えたらダメになる気がする。
ネガティブな気持ちで、【赤ランプ】にもどった。
※モン力は、電気みたいなものです。
※敵対生物では、相性にもよりますがほとんどの場合、街長よりボルドーが強いです。
お読み頂きありがとうございます。




