詰みと再会と旅立ち
あの決闘から約3ヶ月たった。
充実した毎日を過ごしていたが、迷宮攻略は行き詰まっていた。
今は、十七階層を攻略している。
十七階層は、レベル4ばかり出てくる階層で、たまにレベル3が出てくる階層だ。
もちろんお互いに、強くなった。
俺は【上忍】になり、マリンは【上級剣士】になった。
その際に【索敵】【分身】のスキルを得たが、【投擲】を含めてあまり使ってない。
【索敵】は、生物や罠の場所を知る事ができるが、【超感覚】の方が優れている。
【分身】は、残像を作って敵を混乱させたりするのだが、俺達のパーティーで、どう使えば効果的かまだわかっていない。
魔術書やスキル書も、買ったり、迷宮でみつけたりした。
俺は、【○○·ショット】という初級魔術のショット系の火、水、光、無の魔術と、【ヒール】を覚えた。
風、闇は、【ファイアショット】を使った時に【闇雷】の方が強かったので買わなかったし、見つけたら新しいパーティーメンバーの為に1つずつ残して売った。
スキル書は、今持ってるスキルの下位互換や、俺には合わないスキルばかりだったので、俺は使わなかった。
マリンは、【龍鱗】でMPを使いたいから、と言って魔術書は断った。
スキル書の方は、固有スキルと加護以外の、ステータス鑑定系全部と【腕力強化】などを使っていた。
【アナライ】の名前の由来は、迷宮から出るスキル書が、鑑定系のものばかりだからだと、クルカさんに聞いた。
閑話休題。
俺も【腕力強化】なら使う意味があるが、1つしか売ってなかったので、マリンが使う方が良いと判断して、マリンに使わせた。
経験値は、マリンの経験値が1ヶ月で溜まり、レベル5を倒せばレベルアップする。
俺は、マリンの経験値が溜まったので、総どりしていたが、まだまだ半分も溜まってない。
マリンの経験値が溜まって、しばらくして一度、十八階層に挑戦した。
十八階層は、たまにレベル5が出てくる階層だ。
レベル5のモンスターを鑑定して、愕然とし無理だと思い逃げた。
人のステータスはあてにならないが、モンスターは違うし、自分だけではないので、安全マージンをとった。
その際に運が良い事に、レベル5のハッピーモンスターのグラン·スライムと出会い、戦ったが、討伐出来なかった。
このレベルになってくると、あのハゲ豚と違って、格の違いをとてつもなく実感する。
ほんの一部の人以外、レベルが下なら、ハッピーモンスターでなければ討伐できないらしい。
グラン·スライムは厄介過ぎる。ただでさえレベル4に比べ格段に強いのに、再生能力がある。
このままじゃ、じり貧だった。俺達のパーティーの火力じゃ倒せなかった。
この時は、【分身】を使って、寿命を犠牲にして【神走】を使い、マリンを抱えて逃げた。
資金はマリンをまた買える以上に貯まったので、奴隷を買えるのだが、パーティーを増やすにも、ルソーの奴隷商店では買いたくない。
装備を更新するにも、【アナライ】の装備品店に、今装備している以上の装備がないので、詰んでいた。
それを師匠に相談したが、自分で考えろと言われた。
迷宮攻略では詰んでいたが、良い事もあった。
1つ目は、【斬兎刀】を譲ってもらった。
デーブルとの戦いで、俺が強くなったのを見て、【斬兎刀】を借りる人が増えた。
すると、借りた冒険者の大怪我が増え、死亡者まで出てしまった。
冒険者は自己責任だが、このまま冒険者が減るのは、マズイと街長や師匠ら貴族が判断して、最後の一本を俺に譲ってもらった。
最後の一本だから、師匠が、俺のためにっていう思いもあったと思う。っていうかあって欲しい…。ただの厄介払いじゃ悲しすぎる。
2つ目は、【ヤスラギ亭】の庭に簡易なお風呂場を作ってもらった。
単に小屋を建てて、風呂は木で枠を作り、そこに水抜きの為に栓を作ってもらった。床は分厚い鉄板を敷いた物だ。
費用は俺持ちだ。
そこに、【ウォーター·ショット】を鉄板めがけて10回使い、【ファイア·ショット】を3、4回使えば、ちょうど良い温度になる。
もちろん、そこにマリンと2人で入っている。…最高だ。
マリンに聞いた話だと、この世界には…少なくてもマリンが知る限り、お風呂はないようだ。
【斬兎刀】を借りれず早く宿屋に帰った時に、女将さんが入浴していて、一騒動あったが、女将さんに論破されてしまった。
ふと、風呂に水を溜めるなんて、女将さん結構強いんじゃないか、そういえば鑑定してなかった。と思い、マリンに言ったら、お世話になってる人を鑑定するなんてやめてください。と言われた。
俺もその通りだなと思った事と嫌な予感がした。
この嫌な予感はよく当たるのでやめておいた。
とても気になったが、知らない方が良い事は、この世界にもある。と考え、その気は封印した。
師匠やマリンの両親も、たまに入浴している。
マリンの父は、いつか商売にしたい。と言っていた。
この世界にも、お風呂文化が根付いてほしいものだ。
3つ目は、街長が女性だとほぼ確定したことだ。というか、師匠の奥さんだった。
マリンにその気はないと教えてもらったが、街長はどう思っているかわからない。
師匠に相談したところ、街長の事は、やはり多くは教えてもらえなかったが、自分の奥さんだと言っていた。
俺達くらいの子供もいて、奥さんが街長になって、しばらくしてから独立させて、街から追い出した。と言っていた。
厳しいですね。と言ったら、それもあるが子供の為でもある。と言っていた。
貴族にも、いろいろあるのだろう。
とにかく、街長が女性ということは、ほぼ確定だろ。
街長が男の可能性は、師匠もトランスジェンダーで子供が養子か連れ子ということ以外、可能性はないはずだ。
それにしても、師匠もマリンも、街長の事を秘密にしすぎだろう。
もう一度、会いたいものだ。
他にもいろいろあったが、大半はマリンとのノロケなので、割愛する。
嫌だった事は、迷宮攻略が進まない事と、マリンが女の子の日の時以外は特になかった。
【アナライ】は、とても良いところだ。
でもこのままじゃ強くなれない。だから、一旦出る事にした。
向かう街の候補を探していた。
マリンのいた街は論外で、他は知らないので、師匠との鍛練の終わりに、師匠に聞いてみた。教えてくれるか、分からないが聞いてみた。
「そうだな、【バフク】か【ラディス】だな。」
あっさり教えてくれた。
少し驚きながら、
「どういう街なんですか?」
「【バフク】は、身体強化系のスキル書がよく出る。【ラディス】は、2つの迷宮からできた街で、魔術書が良く出るな。だから、自分を鍛えたければ【バフク】、奴隷でパーティーメンバーを増やすなら【ラディス】だな。街には魔術師と治癒師が多いから、どちらかの奴隷がいるだろう。」
「マリンはどっちが良いと思う?」
「私は、ご主人様に従います。」
やっぱりか…。うーん、どうしようか…。そうだ。
「その2つの街長は、どういう人か分かります?養殖かどうかとか。」
「わからん!どういう人かは知らないが、【ラディス】は養殖だったと思うぞ。」
それじゃあ、【ラディス】はやめておこう。これ以上、貴族と揉めたくないからな。
「【バフク】に行こうと思います。」
「そうか。頑張れよ。できれば、【ラディス】に行ってほしかったが…。」
「どうしてですか?」
「いやな、ウチの娘が魔術師でな。多分【ラディス】に行って、様子を見てほしかったが、別に良い。」
「そうなんですか。心配なら自分で見に行けないんですか?」
「ウチのが、子離れしろって禁止なんだよ。」
「なるほど…。」
ということは、街長がこの街から出したんだな。
あの師匠が頼んでいるなら、【ラディス】にしよう。
「分かりました。それじゃあ【ラディス】に行きます。」
「そうか!すまんな!!気を使わせたみたいで悪いな。」
「いえ、良いですよ。正直迷っていたので、師匠の頼みなら【ラディス】に行きます。それでどんな子なんですか?」
「そうだな。自由が好きな子だな。もちろん可愛いぞ。それから、優秀な魔術士だ。それに、━━━って感じだな。他にもあるが、そろそろ女将さんが来るから帰る。またな。」
師匠は親バカだった。娘の自慢話が長かった。話し半分で聞いていた。
師匠が言った通り、女将さんがしばらくしたら来た。
でも師匠って、女将さんと知り合いみたいだけど、一緒にいるとこ見た事、あの日以外ないな。
師匠が女将さんのこと避けているみたいだ。昔、お世話になったりして、頭が上がらないのかもな。
俺もどんどん上がらなくなってきたし…。
とりあえず、女将さんにも【ラディス】に行く事、言っておこう。
そんな感じで【ラディス】に行く事にした。
※【ラティアのツナギ】は、脱ぐ事は、できます。ただ、他の服を着ると、戦闘に影響があるくらい、ものすごく気持ち悪くなります。
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