9話
8月7日(金)午後12時
田中宅
「お母さん、明日友達と海行って来ていい?」
「もちろん、気を付けて行って来るのよ」
「うん!」
あれから1ヶ月、平穏な日々が続いている。
「お姉ちゃん、海行くの?良いなぁ⋯僕も行きたい!」
「明日はダメ〜!今度、皆で行こ?」
「悠斗には、海はまだ早いんじゃない?プールはどう?」
「プール!行きたい!」
「じゃあ、今度行こっか?」
「やったー!」
心から笑い合える事に、今まで以上に幸せを感じていた。
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8月8日(土)午後2時
玄関のチャイムが鳴り響き、荷物が届けられる。
宛先を確認し、首を傾げた。
「⋯何か頼んでたかしら?」
箱の中を見て、思わず悲鳴が漏れる。
「っ⋯何で⋯」
部屋の中を見回し、震える手でメッセージを送った。
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同日午後8時
ファミレス
「お母さん、どうしたの?急にファミレスで待ち合わせよう、なんて⋯」
「⋯実は⋯今日、水着が届いたの⋯」
「水着!?って⋯」
勘付いた様子の娘に、小さく頷く。
「⋯?どういう事だ?」
「⋯昨日、皆でプールに行こうって話したの⋯」
「で、今日⋯水着が送られてきた⋯だよね?」
「⋯ええ⋯」
「っ⋯!それ⋯」
「⋯盗聴、されてる⋯って事、よね⋯」
「⋯ねぇ、悠斗⋯帰ったら、お姉ちゃんと宝探ししない?」
「する!」
「⋯パパも宝探し、一緒にしようかな⋯」
優しくて頼もしい家族に、涙が滲んだ。
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同日午後11時
田中宅
「⋯何もない⋯」
「これだけ探してないんだから、たまたまイタズラと重なったって事じゃないか?」
「たまたまって⋯プール行く話をした翌日に、水着が送られてきたんだよ?」
「⋯美咲、気の所為だったのよ⋯」
「っ⋯気の所為って⋯」
「心配してくれて、ありがとう⋯盗聴されてないってわかっただけでも、充分よ」
納得いかない様子の娘を安心させるように微笑む。
盗聴器が見付からなかった事への安心と、偶然でも再びイタズラが始まった事への不安を感じながら⋯




