10話
8月15日(土)午後8時
田中宅
「僕、明日プール行きたい!」
「っ⋯プール⋯約束してたものね⋯」
送られてきた水着を思い出し、顔が強張る。
「⋯悠斗、プールより遊園地が良いんじゃない?」
「遊園地!行きたい!」
「じゃあ、明日は遊園地行くか!」
「やった〜!」
気遣ってくれる娘に感謝し、ホッと肩を下ろした。
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8月16日(日)午後2時
白峰遊園地
「僕、次あれ乗りたい!」
「ねぇ⋯少し休憩しない?」
「え〜!乗りたい〜!」
「じゃあ、悠斗はパパと一緒に行くか!」
「そうね、美咲は私と一緒に休憩してようか?」
「うん!パパと行く!」
「少し休憩したら、ショップ見たいんだけど⋯」
「もちろん、じゃあ⋯3時間後に出口で待ち合わせましょうか?」
「わかった、じゃあ3時間後に⋯行こうか、悠斗」
笑顔で手を繋ぐ旦那と息子を見送り、娘に微笑む。
「何か食べる?」
「クレープ食べたい!」
並んでベンチに座り、クレープを頬張った。
「⋯お母さん、大丈夫?」
「大丈夫よ⋯私には、美咲達が居てくれるもの⋯」
クレープを食べ終わり、ショップを見て回る。
「これ可愛い!お母さん、色違いで買わない?」
「あら、良いわね⋯」
『迷子のお知らせを致します。5歳の田中悠斗くんをお預かりしております。保護者の方は、迷子センターまでお越しください。繰り返します⋯』
園内放送を聞き、思わず娘と顔を見合わせる。
急いで迷子センターへ駆け込んだ。
「っ⋯あの⋯!田中悠斗の母です⋯!」
「えっ⋯?あの⋯先程、お父様が迎えに来られましたけど⋯」
「⋯そう、ですか⋯ありがとうございます」
ベンチに座り、旦那に電話を掛ける。
「⋯出ない⋯」
「⋯お父さん、何してんの!?⋯水着の事だって⋯!イタズラが重なっただけとか、軽く考えて⋯」
「美咲、やめなさい⋯」
「っ⋯でも⋯!」
「⋯とりあえず、待ち合わせ場所に行ってみましょう?」
約束の時間より早く、待ち合わせ場所へと向かった。
辺りを見回しても、姿は見えない。
「⋯最悪⋯」
不機嫌そうに呟く娘と、ベンチに座って待つ。
時間が経てば経つほど、胸の中のモヤモヤが膨らんでいった。




