↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不幸のお届け物  作者: 月海みやび


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/9

7話

7月8日(水)午後12時

あさひ公園


「ママ!今日のお弁当は?」

「っ⋯ごめん、悠斗⋯今日は⋯」

「⋯ママ⋯元気ないの?大丈夫?」

「っ⋯大丈夫⋯今日は、そこのキッチンカーで買って食べようか?」

「うん!」


いつもなら癒されるはずのプチピクニックなのに、気分が晴れない。


毎日何度も掛かってくるイタズラ電話に、限界が来ていた。


「あっ⋯!田中さん、こんにちは」


声のした方を見ると、長谷川さんが笑顔で立っている。


「⋯こんにちは」

「先週もお会いしましたね」

「っ⋯そう、ですね⋯」

「⋯?どうかされたんですか?」

「えっ⋯?」

「⋯何だか、元気がないのかなと⋯」


長谷川さんの言葉に、胸がモヤモヤした。


疑心を抱いたまま、彼の顔を見る。

心配そうな顔で、ジッと見つめていた。


勝手に疑念を抱いていた事に申し訳なさを感じつつ、精一杯の笑顔を作る。


「⋯大丈夫ですよ」

「大丈夫じゃないですよね?⋯そんな笑顔、田中さんらしくないですよ」

「っ⋯」

「⋯僕じゃ、頼りないと思いますが⋯話を聞くくらいなら出来ます⋯話してくれませんか?」


迷っていると、優しい声が聞こえる。


「⋯話をするだけでも、楽になると思いますよ」

「っ⋯実は⋯」


戸惑いながら、イタズラ電話について話をした。


「⋯それは⋯しんどいですね⋯」

「はい⋯正直、限界で⋯」

「⋯旦那さんに、相談してみたらどうですか?」

「⋯やっぱり、相談した方が良いですよね⋯」

「僕なら、相談して欲しいですね」

「⋯相談、してみます⋯話、聞いてくれて⋯ありがとう、ございました⋯」

「いえ⋯僕で良ければ⋯いつでも話聞きますよ」


微笑みと共に、名刺が差し出される。


「これ、僕の連絡先です⋯何かあれば⋯」

「⋯ありがとう、ございます⋯」


そっと受け取り、微笑んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


同日午後2時

田中宅


「悠斗、今日のおやつ何食べたい?」

「パンケーキ!」


無邪気な息子に微笑み、パンケーキを作り始める。


不意に鳴り響いた電話に、持っていた道具を落としてしまった。

慌てて拾い上げ、電話を見つめる。


「⋯ママ?電話だよ?」


不思議そうに覗き込まれ、笑顔を作った。


「っ⋯電話の間、待っててね」

「うん!」

「⋯はい⋯」

「⋯タナカ⋯マユミ⋯」

「っ⋯!」


電話口から聞こえてきた機械音声に、身体が硬くなる。


「⋯タナカ⋯ナオキ⋯タナカ⋯ミサキ⋯タナカ⋯ユウト⋯」

「っ⋯!」


身動きが取れずに居る間も、機械音声は家族の名前を読み上げていた。


電話が手から滑り落ちる。

震える手で拾い上げ、電話を切った。


「⋯ママ?大丈夫?」


思わず息子を抱き締める。


「⋯大丈夫⋯大丈夫、だから⋯」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


同日午後7時


「ただいま〜!」

「っ⋯美咲!大丈夫!?」

「⋯何が?って、お母さんこそ⋯大丈夫!?顔色悪いけど⋯」

「ただいま〜って、二人ともどうしたんだ?」


イタズラ電話の内容を、全て打ち明ける。

話し合った結果、電話を外す事にした。


これで、イタズラ電話を受けなくて済む。

安堵のため息が、静かに空へと消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。