6話
7月6日(月)午前10時
田中宅
洗濯機のボタンを押し、ホッと息をつく。
昨日は一日、無言電話が鳴らなかった。
次の家事に取り掛かろうとした時、電話が鳴り響く。
「はい、田中です」
「⋯ハァ⋯ハァ⋯ハァ⋯」
突然聞こえた荒い息に、電話を落とす。
「っ⋯何!?」
震える手で電話を切り、ソファに沈み込んだ。
『⋯ハァ⋯ハァ⋯ハァ⋯』
電話口から聞こえた荒い息が、頭の奥から離れない。
頬を叩き、沈み込んだ気持ちを奮い立たせた。
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同日午後12時
洗濯物を畳みながら、チラリと時計を見る。
食欲が湧かず、ため息をこぼした。
不意に玄関のチャイムが鳴り響く。
「はーい!」
努めて明るく返事をし、扉を開けた。
誰も居ない景色を見つめ、呆然と立ち尽くす。
「っ⋯」
気味が悪くなり、慌てて扉を閉めた。
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同日午後2時
ボーッと掃除機をかけていると、電話が鳴り響く。
今朝の荒い息を思い出し、耳を塞いだ。
鳴り続ける電話にため息をつき、よろよろと立ち上がる。
「⋯もしもし⋯」
「⋯ギッ⋯ギギッ⋯ギギィー⋯」
「っ⋯!」
電話口から聞こえた奇妙な音に、思わず耳を塞ぐ。
「ママ〜!ただいま〜!」
「っ⋯!⋯悠斗⋯おかえり⋯」
慌てて電話を拾い上げ、笑顔を向けた。
「⋯ママ⋯大丈夫?」
「⋯大丈夫よ⋯」
心配そうな息子の頭を撫で、一緒におやつを食べる。
『⋯ギッ⋯ギギッ⋯ギギィー⋯』
頭の中では、いつまでも奇妙な音が鳴り続けていた⋯




