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不幸のお届け物  作者: 月海みやび


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5/12

5話

7月4日(土)午前10時

田中宅


「お母さん、おはよ〜⋯」

「おはよう、美咲⋯やっと起きたの?」

「いいじゃん、休みの日くらい⋯」

「おはよ!お姉ちゃん!」

「悠斗、おはよ⋯朝から元気だね〜⋯」

「僕、早起きだもん!」

「⋯幼稚園ないのに、早起きしてんの?凄いね〜⋯」


眠そうに欠伸をする娘に微笑みながら、朝食を出す。


穏やかな朝の時間を邪魔するように、電話が鳴り響いた。


「⋯はい⋯」

「⋯⋯⋯」


無言電話だと確信し、すぐに電話を切る。


「⋯何?また間違い?」

「⋯まぁ⋯そんなとこ⋯」


誤魔化すように笑い、キッチンへと足を向ける。


家事に取り掛かったところで、再び電話が鳴り響いた。


「お母さん、私が出るよ」

「っ⋯いいわよ、お母さんが出るから⋯!」

「高校生なんだから、電話くらい出れるって⋯!はい、田中です」

「⋯⋯⋯」

「もしもし?」

「⋯⋯⋯」

「⋯切れた⋯」


娘が電話を置き、顔をしかめる。


「⋯ねぇ、お母さん⋯もしかして、最近の間違い電話って⋯」

「美咲は気にしなくて大丈夫よ⋯!」

「お母さん!私、そんなに頼りない?⋯お父さんにだって⋯ちゃんと話してよ!一人で抱え込まないで!」

「っ⋯」


何も言えず、視線を落とす。


「⋯間違い電話じゃなくて、無言電話だったんでしょ?⋯いつから?」

「⋯4日くらい前かな⋯」


娘の圧に押されるように呟き、笑顔を作る。


「大丈夫よ⋯こんなイタズラ、すぐに収まるわ⋯」

「⋯でも⋯!⋯お父さんに相談した方が⋯」

「お父さんは、お仕事で忙しいんだから⋯余計な心配させたくないの⋯」

「⋯わかった⋯でも、あんまり長く続くようなら⋯お父さんにも相談しよう?」


しっかり者の娘に、思わず苦笑を漏らした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


同日午後12時


「美咲、悠斗⋯お昼、何食べたい?」

「パスタ!」「オムライス!」


子供達の声が重なる。


「悠斗、オムライスは夜にしよっか?」

「うん!お昼は、ミートスパゲッティ!」

「え、カルボナーラが良いんだけど⋯」

「じゃあ、それでいいよ!」

「えっ⋯いいの?」

「僕は、いつでもママのごはん食べれるもん!お姉ちゃんは、お休みの日しか食べれないでしょ?」

「⋯悠斗⋯ありがとう〜!」


息子に抱き着く娘を、微笑ましく見つめる。


カルボナーラを作り始めた頃、電話が鳴り響いた。


「⋯お母さん、私が出るね⋯はい、田中です」

「⋯⋯⋯」

「⋯あの⋯!?」

「⋯⋯⋯」

「⋯また⋯!?」


苛立たしげに電話を置く娘に、無邪気な息子が声を掛ける。


「お姉ちゃん、大丈夫?プンプンしちゃダメだよ?」

「⋯大丈夫、プンプンしちゃダメだもんね⋯」


子供達のやり取りを見て、誇らしくなった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


同日午後2時


再び電話が鳴り響く。


「お母さん、私が出る⋯!⋯はい、田中です」

「⋯⋯⋯」

「⋯あの⋯!こういうの、やめてください⋯!迷惑なんで⋯!」


言うなり電話を切り、勝ち誇ったように笑う娘を見つめた。


これから穏やかな日々が戻ってくると信じて⋯

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