4話
7月1日(水)午後12時
あさひ幼稚園
「悠斗くんママ、こんにちは」
「こんにちは、いつもお世話になってます」
「ママ!」
走って来る息子を抱き締める。
「悠斗くんは、本当にママが好きだね」
「うん!」
息子の言葉に、笑みがこぼれる。
先生と別れ、公園へと向かった。
「ママ!今日のお弁当なに?」
「今日は⋯おにぎり!」
「おにぎり!やった〜!」
無邪気にはしゃぐ息子に、微笑みを向ける。
「ちゃんと手を消毒してね?」
「は〜い!」
おにぎりを頬張る息子を見つめ、自分もおにぎりを口に運ぶ。
週に一度、幼稚園が午前中で終わる日のプチピクニック。
家事に追われる日々の、癒しになっている。
「あれ、田中さん?」
「⋯長谷川さん!?」
「偶然ですね」
「⋯そう、ですね⋯長谷川さん、どうしてここに?」
「仕事が休みなので、ちょっと散歩に⋯」
「⋯そう、なんですね⋯」
「あっ⋯じゃあ、僕はこれで⋯」
長谷川さんと別れ、ため息が漏れる。
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同日午後2時
田中宅
洗濯物を畳んでいると、電話が鳴り響く。
「はい、田中です」
「⋯⋯⋯」
「っ⋯また?」
思わず声が漏れると、電話の向こうで笑う気配がする。
再び声を掛けようとした時、電話が切れた。
「っ⋯何なの?」
昨日から続くイタズラ電話に、苛立ちが込み上げる。
「⋯ママ⋯?」
「悠斗⋯ごめんね、起こしちゃった?」
「⋯大丈夫?プンプンしてる?」
「⋯大丈夫よ⋯」
小さく微笑み、抱き締める。
「少し早いけど、おやつにしようか?」
「うん!」
息子の笑顔に癒され、ホッと息をついた。
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同日午後8時
「今日、学校でね⋯」
楽しそうに話す娘に、笑顔を向ける。
目の前では、息子が一生懸命パパに話をしていた。
何気ない穏やかな時間を邪魔するように、電話が鳴り響く。
「っ⋯はい⋯」
「⋯⋯⋯」
無言電話だと確信し、こちらから電話を切る。
「⋯どうした?誰からだったんだ?」
「⋯間違い電話かな?すぐ切れちゃって⋯」
不思議そうに見つめる旦那に、困ったように微笑んだ。
「間違いにしても、すぐ切るなんて失礼じゃない!?」
「⋯ホントよね⋯」
しっかりした娘を誇らしく思いながらも、イタズラ電話に胸がざわついた。




