3話
6月30日(火)午後2時
田中宅
一通りの家事が終わり、ホッと息をつく。
時計を見ると、息子が帰ってくるまで30分程あった。
少しのんびりしようと思った時、電話が鳴り響く。
「はい、田中です」
「⋯⋯⋯」
「⋯もしもし?」
「⋯⋯⋯」
再び声を掛けようとした時、電話が切れた。
「⋯何だったの⋯?」
少し気味の悪さを感じつつ、ソファに腰掛ける。
「ママ〜!ただいま〜!」
「悠斗、おかえり!手洗いうがいしてね」
「は〜い!」
息子とのいつものやり取りに、安堵の息が漏れる。
「ママ!今日もね、お兄ちゃんからアメもらった!」
「えっ⋯?お兄ちゃんって⋯」
「この前アメくれたお兄ちゃん!」
「⋯どこで?」
「バスおりたとこ!」
「⋯そう、良かったわね⋯」
無言電話で過敏になっているのか、ざわつく胸を押さえる。
きっと、たまたま会っただけよね⋯
そう、思い込もうとした時⋯
再び電話が鳴り響いた。
「っ⋯はい、田中です⋯」
「⋯⋯⋯」
「⋯あの⋯?」
声を掛けた瞬間、電話が切れる。
「ママ⋯?どうしたの⋯?」
「っ⋯何でもない⋯間違いだったみたい」
無理やり笑顔を作る。
「⋯おやつ食べる?」
「たべる!」
幸せそうにおやつを頬張る息子を見て、思わず笑みがこぼれた。
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同日午後8時
家族で夕食を囲む。
何気ない会話をしながら笑い合う、幸せな時間⋯
その幸せを邪魔するように、再び電話が鳴り響く。
「っ⋯はい⋯」
「あっ、真由美さん?」
「⋯お義母さん!?」
優しいお義母さんの声に、ホッとする。
⋯無言電話なんて、そんなに続くわけない。
きっと、たまたまイタズラされただけ⋯
自分に言い聞かせるように、心の中で呟いた。




