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とらいあぐる  作者: おきゆむ
高校一年 夏
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98/104

流石は沖田さん

「おはよう。そして、おめでとう流石は沖田さん。まさかさらりと優勝するとはね」


学校が近づくにつれてコウがいつもの女子たちに囲まれ、離れていったあとで、急に私の横に武田先輩が現れたのだ。


「おはようございます。別にさらりではありませんよ…」


と否定する。


「じゃあ、苦戦したの?」


武田先輩の問いに思わず無言になる。


すると武田先輩がクスッと笑う。


「沖田さんは本当に嘘がつけないね。顔にすぐ出る」


「…うっ」


試合に集中出来ないまま優勝したので、まあ苦戦は正直していない。


「次は団体戦か。そして、インターハイ本戦…しばらくは忙しそうだね沖田さん」


武田先輩がやや残念そうに語る。


「でも、息抜きにデートなんてどうだい?」


と武田先輩が瞬時に笑顔になった。


「…秋以降って前に言ってませんでした?」


「そうだっけ?まあ、沖田さんの邪魔にはなりたくないし、色々と落ち着く秋までおあずけかな」


武田先輩がうんうんと頷く。


「…すみません」


正直、この前助けてもらった身としては、デートくらいはしないと申し訳ない。


しかし、武田先輩が私に好意を寄せていることが未だに理解出来ない。


私はガサツで女っ気もないし、剣道しか取り柄がない女。


…原田といい、私の一体どこがいいって言うのよ。


「…あの、俺もいるんですけど」


武田先輩の反対側でずっと黙って歩いていた大が堪らず主張する。


「あっ、いたの近藤くん?」


と武田先輩が白々しく言った。


「はい、だから横で堂々とちえにデートに誘うの止めてもらっていいですか?」


大が仏頂面で言った。


「あれ?デートのお誘いするのに幼馴染の許可がいるの?」


武田先輩が顔をひょこっと出して、大の顔を除く。


私も武田先輩同様に大へ視線を向けた。


「…いらないですけど、隣でされるとどう対応していいのか分からなくなるというか…て、ちえまで俺をじっーと見るなよ」


大がそっぽを向いた。


「まっ、幼馴染が嫌がっているから、次からはこっそり誘うよ。あっ、いつもみたいに覗かないでね?じゃあ、またね沖田さん」


武田先輩が笑顔で私に手を振りながら、去っていった。


「…ん、いつもみたいに?どういう意味?」


と首を傾げた。


「…知らねぇ」


と大がまだそっぽ向いたままだ。







大と1-Aの教室の前別れて、教室の扉を開けた。


すると、既に来ていたクラスメイトが私に視線を向ける。


「おめでとう!」


「流石は沖田さん!」


「次は全国かっ。すげぇな沖田!」


と男子からも女子からも祝福される。


私が優勝したって情報はみんなどうやって知るんだろう?


「クラスのグループチャットでめちゃくちゃ盛り上がってるよ」


渚が私の隣に来て教えてくれる。


「そうなの?」


「そうだよ。本人は不在だけど、凄い盛り上がってるんだから。あっ、優勝おめでとう!」


私の側に来て誠子が言った。


…そうなんだ。


今時、携帯電話を持っていないなんて私くらいか…


と原田が私とのデート前に言っていた台詞を思い出す。


たくさんのクラスメイトの祝福の言葉から解放された私はようやく自分の席へと座った。


そして、横には渚と誠子が立っている。


「よっ、有名人。にしても流石はちえだね。親友として鼻が高いよ」


渚が胸を張って言った。


「もし、このままインターハイ優勝ってなったら、ますます男子にモテちゃうね?」


と誠子が笑う。


「…いや、モテたいとは思わないよ私は」


と首を横に振る。


「まあ、もう充分モテてるもんね?原田くんに三年の武田先輩、それと幼馴染の二人でしょ?しかも、みんなイケメンときた…いやぁ、羨ましい」


渚が感情を込めて言う。


「…ちょっと大とコウは違うでしょ?」


と口を尖らせる。


「じゃあ、原田くんと武田先輩にはモテているという実感はあるんだね?」


誠子がじっーと私を見る。


「…うっ、別にモテてるとかじゃなくて…単に好意を寄せてもらってるだけで…」


と否定する。


「いや、一緒やないか!」


渚がテンション高く声を上げて、私の肩を叩いてツッコむ。


がその瞬間、先生が教室に入ってきたため、渚が恥ずかしげに慌てて自分の席へと戻っていった。


…私にはモテるとか好きとか、正直言ってピンと来ないんだ。


と頬杖をつきながら思っていると、今朝のことがふと頭をよぎる。


大に抱きしめられたことが…


その瞬間、私は机に思いっきり顎をぶつけた。


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