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とらいあぐる  作者: おきゆむ
高校一年 夏
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88/103

原田のくせに

「えっー!?何でですか!」


放課後、部活に行く前に体育館裏で大とコウと一緒に山崎先輩に昨日のことをきちん説明してから三人で謝った。


すると、山崎先輩が私たちに今日の部活は休めと言ってきたのだ。


「…さっき反省していると言ったばかりだろ?」


私の抗議に山崎先輩が呆れた表情を浮かべる。


「はい!反省はしています!すーごくしています!ですから、部活はさせて下さい!大会まで時間がないんですよ?一日も無駄には出来ません!」


と猛烈に反発した。


「俺もです!一日…いや、昨日を含めて二日も練習をしないのは落ち着きません!悪いことをしたことは分かっています。だから、どうか練習には参加させて下さい!」


右隣で大が深々と頭を下げる。


左隣にいるコウは黙ったまま何も言わない。


「あのなぁ…別に俺は何も罰でお前らに今日の部活を休ませる訳じゃないんだぞ?まあ、土方は理解しているようだが」


と山崎先輩がコウの方をチラッと見る。


私も大もコウへ視線を向けた。


「そうなの!?」


左隣のコウに訊ねる。


「…ああ、とにかく主将の話を聞け」


とコウに嗜められる。


「…俺がお前たちを休ませる理由は二つ。一つは昨日の疲れをちゃんと癒して欲しいからだ。肉体的にも精神的にもかなり疲れただろう?もう一つは剣道家として例えどんな理由があったとしても、剣技を暴力に使ったことは許されることじゃない。本当なら退部になったっておかしくないんだぞ?それに他人を傷つけたイメージを持ったまま、練習するのは危険だ。だから、今日一日はちゃんと休んでリセットしろ」


山崎先輩の話に悔しいけれど、正論だと思ってしまう。


でも、試合は日曜日…どうしても練習がしたかったんだ。


「…自分だって乗り込もうとしたくせに」


とボソッと口から漏れた。


「ん?何か言った沖田?」


山崎先輩がギロリと私を睨む。


「…何でもないです」


山崎先輩が大きなため息をついた。


「という訳だ。今日は大人しく三人仲良く帰れ」


そう言って、山崎先輩は更衣室へと向かって歩いていく。


私はその後ろ姿を羨ましそうに見ていた。


「…仕方ないだろ。二人とも今日は帰るぞ」


コウが私と大をそう促した。


渋々、それに従って歩き出す。


「原田は?それに谷くんも!」


気づいて立ち止まり、思わず声を出す。


そうだ。


原田も谷くんも昨日の乱闘騒ぎに参加している。


なら、二人も今日は部活禁止にならないとおかしい筈だ。


「…原田はさっき主将にしばらく部活は休むと申し出いたのを横で見ていた。怪我だらけの自分が部活に出れば何かと迷惑をかけてしまいそうだから、怪我が治るまでは謹慎するそうだ。日曜日の試合の応援も自粛すると言っていた。谷も怪我が治るまでは部活を休むと昼休みに主将に知らせていたらしい」


私の心を見透かしたようにコウが私に説明してくれた。


「…ったく、原田の方が随分と大人だな。ちえも少しは見習え」


コウがそう言って、再び歩き出す。


「原田のくせに…」


と口を尖らせた。


「…仕方ないな。大人しく帰るぞちえ」


大がそう言って、私の肩をポンっと叩いた。


仏頂面を浮かべたまま、三人並んで校門へと歩いていく。


周囲には部活のない生徒がちらほらいた。


…こんな早い時間に帰るのは久しぶりだ。


帰ったら、こっそり練習しとこ…と思ったけど、やっぱりやめとく。


原田の判断を聞いたあとで、私が隠れて練習するわけにはいかないよね…


と心中でため息をつきながら、校門を通って学校をあとにする。

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