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とらいあぐる  作者: おきゆむ
高校一年 夏
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74/76

形勢逆転

だが、冷静沈着なコウがただがむしゃらに突っ込んでいく筈がない。


その読み通り、コウが芹沢の行動を予測して、左へと大きく飛んだ。


…いや、初めからそのつもりだったのかもしれない。


芹沢の突進が空振りに終わり、芹沢が体勢を大きく崩した。


芹沢がすぐに踏み込み、体勢を整えて後ろへと振り返る。


しかし、その充分過ぎる隙に大が先に体勢を整えていて、木刀を構えていたのだ。


芹沢は必死に大の攻撃を避けようとするが、原田が芹沢の足元に潜り込んで両脚を押さえた。


「原田!?」


堪らず、芹沢が驚きの声を上げた。


「行けぇ!近藤!土方!」


原田が必死に芹沢の脚を押さえながら叫んだ。


その声に応えるように、大が少し飛ぶように芹沢の頭上に勢いよく木刀を振り下ろした。


そして、そのあとに連携攻撃の如くコウの一閃が芹沢の胴を襲う。


芹沢の表情が悲痛のものへと変わり、巨体が前へと崩れ落ちた。


原田が巻き添えを食らわないように素早く避ける。


「やったぁ!」


私がそれを見て歓喜の声を上げた。


しかし、その次の瞬間、私は動けなくなる。


何故なら突然、首元に冷たいナイフの刃を当てられたからだ。


「新見!?」


原田が私の状況に気付いて声を上げた。


新見が私の背後からナイフを喉元に突きつけてきたのだ。


「ちえ!」


大とコウも気付いて叫ぶ。


「おっと、動くなよお前ら。この女がどうなるか保証できないぜ」


新見がいやらしい声で脅す。


「新見、テメェ!」


原田が怒りの声を出す。


「随分と身勝手に暴れてくれたな。こっからは俺たちの番だ」


新見が勝ち誇るように言った。


「俺たち…?」


新見の言葉にコウが疑問を口にした瞬間、入り口の方から階段を下りてくる足音と声が聞こえてきた。


しかも、一人や二人の足音や声ではない。


それに気づいた時には、この部屋にぞろぞろと人相の悪い連中が入ってきた。


…チーム鴨の連中だ。


たちまち、部屋の入り口付近がそいつらで覆われてしまう。


「残念だったな?一気に形成逆転ってやつだ。さて、お前らにはこいつらのサンドバッグになって貰おうか?」


新見がそう言って、更にナイフの刃を私の喉に突きつける。


それを見てチーム鴨の男たちが歓喜の声を上げていく。


その状況に堪らなくなり、このナイフをなんとかしようと思った時、コウが私の方を見て首を振った。


動くなという意味だろう。


…もう少しのところでまた私が足を引っ張ってしまった。


その悔しさで思わず下唇を噛む。


私が人質に取られて、大もコウも原田も動けない…


このままでは三人が本当にこいつらのサンドバッグになってしまう…


どうにかしなきゃと思った矢先、突如異変が起こった。


入り口付近にいた男たちが次々と悲鳴を上げていく。


そして、その男たちが将棋倒しのように倒れていき、入り口が露わになる。


その露わになった入り口に立っていた人物を見て私は思わず叫んだ。


「武田先輩!?」


そう、背が高くどこかいつもひょろっとしている武田先輩が立っていたのだ。


…でも、いつもの武田先輩と違うところが一つあった。


いつもの笑顔がそこにはなく、武田先輩らしくない険しい表情をしていたのだ。

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