そんな顔すんな
俺たち…?
「流石、沖田だな。あんな化け物相手に優勢に戦ってるなんてよぉ」
コウとは反対側から原田が私の横へと並ぶ。
「原田!」
「お陰で少し休めたぜ。土方の言う通りあとは任せてくれ」
そう言って原田が私の肩に手を置く。
するとその手がすぐに弾かれた。
「何が任せろだよ…あっさりやられてた癖によ」
「大!」
振り返ると大がコウと原田の間に立っていた。
「うるせぇ!お前だって瞬殺だっただろうがっ」
原田が大に顔を近づけて吠える。
「…油断したんだよ。次は負けねぇ」
大が真剣な表情を作る。
「あまり悠長に話している暇は無さそうだぞ」
コウの言葉に芹沢の方へと視線を移す。
芹沢が喉元を押さえながら立ち上がる。
「…おいおい、またお前らか…その女の方がよっぽどやり甲斐があるぜ。俺に地面を拝ませやがったんだからな…」
芹沢が咳き込みながらそう言って私を指差す。
確かに私は芹沢に膝をつかせることが出来た。
しかし、それはあくまで芹沢が私に合わせて戦っていたから…
途中でそれを破れば私にやられることはなかった筈だ。
…それをしなかった芹沢はもしかしたらそんなに悪いやつではないのかもしれないと変な期待を抱いてしまう。
「…まあいい。まだまだ俺を楽しませてくれるなら何でも歓迎するぜ」
芹沢がそう言って笑みを浮かべた。
結構、手応えはあった気がしたが、全くその様子は窺えない。
…なんてタフなの!?
「ちえは下がってろ」
大がそう言って私を自分の後ろへと退がらせた。
その時、私の心配そうな表情に大が気付く。
「…大丈夫だ。必ず勝つからそんな顔をすんな」
大が小さく笑みを作って私の頭をポンっと叩く。
「うん」
私も小さく笑みを浮かべて頷いた。
「さてと、こっからが本番だぜ。足を引っ張るなよお前ら」
原田がポキポキと首を鳴らしながら言った。
「…お前がな。頼むから輪を乱すなよ」
コウが皮肉を原田に返す。
「ふん!」
原田が仏頂面を浮かべた。
しかし、その口元はどこか笑っているように映る。
口ではそう言い合っているけれど、実際は互いに信頼し合っている三人だ。
その三人の背中がとても頼もしく見えた。
…悔しいけれど、私の出番はここまでのようだ。
「さあ、第2ラウンド開始と行くか!」
芹沢が嬉しそうに叫びながら木刀を片手で持ちながら向かってくるのが、三人越しに分かった。
すると真ん中の大が先に動く。
コウと原田はまだ動かない。
大が芹沢より先に木刀で攻撃を仕掛ける。
芹沢が軽くそれを木刀で押さえた。
そして、空いた手を大へと振り下ろす。
しかし、それを原田が芹沢の左側に回り込むように押さえる。
その隙に素早くコウが芹沢の頭を狙うように木刀で打ち込んで行った。
芹沢が体を左右に大きく振り、大と原田を弾き飛ばし、コウの攻撃にすぐに対応する。
芹沢が構わずコウに突進していく。
おそらくコウが木刀を振り下ろす前にコウに体当たりを食らわせる気だ。




