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とらいあぐる  作者: おきゆむ
高校一年 夏
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頬にナイフ

それらを全て原田一人で相手をするなんて無理だ。


「今すぐ助けるからな…待っていろ沖田。…谷は?谷は何処だ!?」


原田が周りにを見渡しながら訊く。


それに新見が指をさして答えた。


「谷!」


谷くんの姿を見て原田が思わず叫んだ。


「…私を助けようとして、こいつらにやられたの」


谷くんを見ながら原田に話す。


「谷の携帯で呼び出された時から嫌な予感がしたけど…お前らやりやがったな…!」


原田が歯をくいしばり、拳を力強く握る。


それに対して原田を囲む男たちが今にも襲いかかろうとしていた。


男たちの中には鉄パイプや木刀などの武器を持っている者もいる。


対して原田は素手。


明らかに分が悪い…


「さてと、そろそろ始めるか原田?お前が心底腑抜けていないか確かめてやる」


新見が私の横にヤンキー座りで屈んだ。


「やれ」


新見がそう言うと、原田を取り囲む奴らが一斉に原田に襲いかかる。


…が、そのほんの一瞬早く男たちの一人が大きく飛んだ。


原田が蹴り飛ばしたのだ。


その光景に周りを囲む奴らが怯む。


そして、それを見逃さずに原田が次々と男たちを殴り倒していく。


…その姿は私の知っている原田ではなかった。


「つ、つえぇ…」


原田に倒されてお腹を押さえている男が怯えるように囁く。


気が付けば原田の周りにまともに立っている者はいなくなっていた。


「…いいねぇ。やっぱりそれでこそ原田だ」


新見がその姿を見て微笑んだ。


「…沖田と谷を返してもらおうか?」


原田が鋭い目つきで新見に要求する。


すると新見がパーカのポケットから何を取り出した。


それが何なのか気付いた頃には私の頬にそれが当てられていた。


冷たい金属の感触…折り畳みナイフだ。


「…何の真似だ?」


原田が更に顔を険しく変えて新見に訊いた。


「見ての通りだ原田。この顔に傷を付けたくなけりゃあ大人しくしな」


新見がそう言って私の頬にナイフの腹の部分をぐいっと押し付けた。


「やめろ!」


原田が叫ぶ。


「いい反応だ。さあてこっからがショーの始まりだぜ」


新見が言ったあと、原田が倒した男たちが立ち上がり、再度原田を取り囲んだ。


そして、無抵抗を強いられた原田に対して反撃を始めた。


原田が殴られ蹴られ、更に鉄パイプで背中を殴られてよろめく。


この状況に何も出来ない悔しさが募る。


せめて、このナイフさえなんとか出来れば…


私が抗おうと考えた時、新見が私の方に視線を向けた。


「馬鹿な考えは起こさない方がいいぜ。まだ女の子でいたいならな。言っておくが俺は人を傷つけるくらい何とも思わないくずだ。本当にやらないなんて期待は捨てた方がいいぜ」


新見が冷ややか口調で私に忠告する。


心の何処で単なる脅しだという考えがあっただけに、新見の言葉に恐怖を抱いた。


更に原田が痛めつけられる音が聞こえて思わず目をぎゅっと瞑る。


その時ふと大とコウの顔が脳裏に浮かんだ。

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