怒りの原田
新見の怒声が部屋に響く。
「…高校に進学だと?その時点でアイツらしくなかったが…更に部活動だぁ?剣道だぁ?ふざける!!」
新見が叫びながらテーブルを蹴り回す。
その様子を周りにいる数人の手下みたいな男たちが怯えたような表情で見ている。
それだけこの新見という男は脅威なのだと感じた。
そして、その新見が敬意を示す芹沢という男も…
「…俺は今のアイツを認めない」
新見が息を乱しながら言った。
「…だから、原田をここに誘き寄せて痛めつける気なの?」
「…アイツの返答次第ではそうなるかもな。あとその返答次第ではアイツが腑抜けた原因でもあるお姫様のアンタにも少々痛い目をみてもらわなければならないかもな」
新見が薄気味悪い笑みを浮かべた。
私はその顔を睨み返す。
「やめろ…沖田さんに何かしたら許さない…」
少し離れたところで倒れていた谷くんが必死に上体を起こそうしながら新見に向かって言った。
「うるせぇよ…テメェは寝てろ!」
立ち上がろうとする谷くんのお腹を平山が勢いよく蹴った。
「谷くん!?」
私は必死に谷くんの方に視線を向けて叫んだ。
「やめて!それ以上、谷くんを痛めつけたら私が許さないから!」
私の言葉に平山が面を食らったような表情を見せた。
「…おいおい。自分の置かれた立場が分かってねぇのかお姫様よぉ?少々、痛い目を見ないと分からねぇようだな」
平山がそう言って近寄ってくる。
私はなんとか手を解こうと抗うが、なにせプラッチック製の結束バンドでがっちりと縛られているので、力で解くことは無理だ。
「まだだ。原田が来るまでは我慢しろ平山。その時が来たらちゃんと楽しませてやるよ」
新見はそう言って私の前にしゃがみ込んで、私の顎をぐいっと上げた。
「よく見ると可愛い顔してるじゃねぇか?これは楽しめそうだ」
新見がいやらしく舌を出した。
手足さえ自由になればこんなやつすぐにぶっ飛ばしてやるのに…
そのもどかしさで苛立ちが募る。
その時、視界の先にあった扉が勢いよく開いた。
「新見さん!原田が来ました!」
そう叫びながら現れたのは平間と野口だった。
…だけど、どっちが平間でどっちが野口かは分からない。
「ようやく王子様のお出ましか」
新見がにやりと笑った。
平間と野口は周りにいるいかにもという人相の奴らとは程遠いくらい普通だ。
おそらく良いように使われているのだろう。
そう思いながら平間と野口を見ていたら、急に二人が順番に前へと飛んだ。
…いや、正確には後ろから蹴り飛ばされただ。
「原田っ!」
平間と野口を蹴っ飛ばした人物が露わになるや私は否や叫んだ。
「沖田っ!」
私に気付いた原田が叫ぶ。
「よう。久しぶりだな原田」
「新見テメェ!沖田に何しやがった!」
原田が凄い剣幕で新見に近づいていく。
すると、原田を取り囲むように周りにいた男たちが立ちはだかる。
ざっと十人はいるだろう。
まだ、カウンターのところにも数人残っている。




