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とらいあぐる  作者: おきゆむ
高校一年 春
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幼馴染④

といっても、放課後になれば三人とも同じ部活なのだから、それまでは別々の世界を過ごす方が最近は新鮮でいい。


「沖田さん。おはよう」


1-Aの教室に入るなり挨拶をされて、慌てて声の方に視線を向けて挨拶を交わす。


視線の先には同じクラスメイトの山南《やまなみ》 誠子《せいこ》が笑顔を浮かべていた。


「沖田さん、山南さん。おはよう」


山南さんに近づこうと彼女の席に歩みを進めた時、背後から元気な声が聞こえた。


振り返ると教室の入り口付近に藤堂 渚が手を振っていて、こちらに小走りで寄ってくる。


「おはよう」


笑顔で挨拶を交わす。


山南さんと藤堂さんは高校に入った初日に仲良くなったクラスメイトだ。


まだ、高校に入ってから日にちも浅く、彼女達のことをそんなに知らない。


これから、ゆっくり知っていけたらなと思っている。


「…ねえ、沖田さんってF組の土方くんと幼馴染みって本当?」


山南さんの席に藤堂さんが辿り着いた途端、藤堂さんが突然切り出した。


「…まあ、コウとは昔から一緒に剣道をやっている仲だからね」


私の発言に二人が顔を見合わせた。


「コウだってさっ!?あの土方くんと幼馴染みってだけでも羨ましいのにコウって!」


藤堂さんが人目も忘れてキャーキャーと騒ぐ。


相変わらず幼馴染みの反響振りには脱帽する。


「…毎日、一緒に通っているよね?」


藤堂さんとはいくらかトーンを落として、山南さんが訊いてくる。


こくりと頷くと藤堂さんが更にキャーキャーと騒いだ。


「…隣のクラスの近藤 大毅くんとも一緒だよね?彼も幼馴染みなの?」


山南さんが恐る恐るといった様子で更に訊いてきた。


「そうだよ。…なんで?」


すると、更に藤堂さんのテンションが上がっていく。


その様子に首を傾げる。


「…知らないの!?一年の間で近藤くんって結構人気があるんだよ!だって、彼かっこいいじゃない!」


藤堂さんの言葉に耳を疑った。


大がかっこいい…?


コウなら中学の頃からモテていたから分かるけれど、大が女子に人気があるなんてびっくりだ。


というか、まだ高校生活が始まって間もないのに、もう違うクラスの男子に目を向けているなんて、暇なんだなと少し呆れてしまう。


到底、私には理解出来ない。


「毎日、あのイケメンの二人と学校を通えるなんて、沖田さんが超絶羨ましい!」


私は藤堂さんのその言葉にただただ微妙な表情を浮かべていた。


「…沖田さんはどちらかと付き合ってたりしてないの?」


少し遠慮気味に山南さんが訊く。


その質問に藤堂さんがいいねと吠える。


「つ、付き合ってなんかいないわよ!…大体、そんな風にあいつらを見たことなんてないし!ただの幼馴染み!」


声をあげて全否定した。


「…勿体無いわね」


藤堂さんがしみじみと言う。


「…ただの幼馴染みってフレーズって怪しい気がする」


と山南さんが藤堂さんを煽《あお》るような失言を吐く。


「そうよ!怪しいわよ!実はどっちかとデキているんでしょ!?吐きなさい!」


藤堂さんがヒートアップして私の肩を揺すり始める。


懸命に否定をしながら、終始苦笑いを浮かべていた。


二人が納得した頃、一限目の始まりを告げるチャイムがなり、私はようやく解放されて慌てて席に逃げる。


先生が教室に入ってきて一限目の授業が始まった。


しかし、授業が始まっても授業内容が全く頭の中に入ってこない。


コウだけじゃなく、大も女子の間で人気があったなんて…


私だけなんだか取り残されたような気がして凄く気分が悪かった。

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