ああ、面倒臭い②
私の声を合図に私たちは帰路へと歩み出す。
「随分と楽しそうだったな…?」
歩き出した直後、左側を歩く大が口を開く。
「…そう見えたのなら、きっと目が節穴なんじゃない?ちっとも楽しくなんかないわよ…」
頬を膨らませてぼやく。
「何だ?日曜日の話か?」
コウの質問に頷く。
「…どこに行くんだ?映画か?」
大が続けて訊いてくる。
「…映画なんて二秒も経たないうちに寝てしまうわよ」
その絵が自分でも想像出来て思わず苦笑いする。
「…だな。ちえが映画なんて柄じゃないもんな…いや、そもそもデートって柄じゃないか…」
大がそう言って吹き出した。
「デートじゃない…ただ遊びに行く感覚よ!」
そう言って肘で大の脇腹を打つ。
大が悶え気味に前屈みになる。
「ところで、そのデートではないものに着て行く服はあるのか?」
コウが鋭い質問を放り投げてきた。
昼間の永倉先生の言葉を思い出す。
「…ないわよ。というか、ただ遊びに行くだけなんだから服なんてどうだっていいの」
私は再度、頬を膨らませた。
「何でもいいって言うけど、剣道一筋で今までまともに俺たち以外と街に出かけたことなんてないだろ?」
大の言葉に自分の持っている服を思い出す。
…確かにない。
もし、渚や誠子に遊びに行こうと誘われても、街に出掛けられそうな服装なんて有りはしない。
「…別にいいわよ。あり合わせでなんとかする…」
自分の台詞に、よくこんな色気のない女にデートを申し込んできたなと、原田は相当物好きなんだなと不思議がる。
私ならもっと女子らしい子を選ぶけどな…
「まあ、ちえはちえでいいんじゃないか?今更、無理したって仕方ないだろ。それに、原田の気持ちに応える気がないのなら、むしろその方が効果的だろうしな」
コウが私と大に向けて言った。
「…ああ、面倒くさい」
思わず本音が漏れる。
「自業自得だろ…軽率なことするからだよ」
大が追い討ちをかけてくるので、このあと別れるまでずっと大に文句を言い続けてやった。
…ああ、ほんと日曜日が憂鬱でならない。




