ああ、面倒臭い①
「マジかよ!携帯持ってないのかよ!?」
永倉先生に弄られた日の練習終わり、日曜日のデート…いや、遊びに行く話で呼び止められた。
詳しいことはメールでやりとりしようぜと言われたので、携帯電話を持っていないという旨を伝えたところこの反応だ。
入学当初に渚と誠子と仲良くなった時も、同様の反応をされたので、もう慣れている。
「…別に必要ないもん。私は学校で勉強して、あとは剣道に打ち込むだけだから、携帯電話なんて持つ必要性がないのよ」
冷めた表情で受け答える。
「…おいおい、マジかよ。今時、小学生でも持ってるぜ…」
原田が呆れたような声を出した。
「何?不満なら約束はなかったことにしても構わないわよ?」
私が冷たくそう言うと、原田が慌てて様子で繕い出す。
「わ、悪かったよ。頼むから怒るなよ…じゃあ、とりあえず昼前に駅で待ち合わせってのはどうだ?」
「分かった…」
私は小さくため息を漏らして、その条件をのむ。
「駅前なら機転が利くだろうし。どこか行きたいとこあるか?」
「うーん、分かんない。原田に任せる」
言ったあと、冷たい言い方だったかなと少し後悔する。
けれど、そんな不安を原田の満面の笑みが掻き消してくれた。
「よし!任せろ!とびっきり楽しませてやるから、楽しみにしてろよ!」
原田が自信たっぷりに親指を立てて自分の顔を指した。
その素振りに思わずクスッと笑ってしまう。
原田は相変わらず原田だ。
こんなところが原田を突き放せない理由なんだと思う。
「まあ、あまり期待しないでおくよ」
笑ったことを誤魔化すように、再度ツンとした言葉で対応する。
「おーい!そろそろ帰るぞぉちえ!」
少し離れたところから大の声が聞こえる。
「すぐ行く!」
手を挙げて大に応えてから、再度原田の方に向き直る。
「じゃあ、行くね。また明日」
私は小さく笑って手を振り、大とコウが立っている方へ駆け出した。
振り向き様に、原田がやたらと締まりのない顔をしていたように映ったのは気のせいだろうか?
まあ、いいやと大とコウのところに辿り着く。
「おまたせ。帰ろっ」




