約束は約束
「は、原田とデート!?」
大が夜道で大声を出した。
コウが静かにしろというジェスチャーをする。
「…仕方ないでしょ。約束は約束なんだから…一回だけよ一回だけ…」
私は仏頂面でぼやいた。
「何かしているなとは思っていたけれど、まさかそんな馬鹿な賭けをしていたとは…」
コウが呆れた様子で右手で顔を覆った。
伊東さんに続き、また私は相手の挑発に乗ってしまった…
コウが呆れるのも仕方がない。
「いつだよ…?」
大が私と同じような仏頂面で訊いた。
「…日曜日」
気まずそうに呟く。
「はあ?すぐじゃねぇか…?」
私はこくりと頷いた。
「…どうするんだ?素直にデートをするのか?嫌なら俺から色々と難癖をつけて有耶無耶にすることは出来るが…?」
コウが眼鏡を直しながら提案をする。
それを首を振って否定した。
「…ううん。ちゃんとデートは行くよ…約束は約束だからね。…それにあいつ凄く喜んでたし」
私はやや俯き加減で答えた。
「そりゃ、好きな相手とデート出来るんだ…喜ぶに決まってるだろ」
更に仏頂面になって大が言った。
「…まあ、ちえがいいなら構わないが、その気がないのに変な期待をさせるのは可哀想たぞ」
「…分かってる」
…でも、大もコウもなんか最近恋模様が渦巻いている。
もし、大が斎藤さんと付き合って、コウが伊東さんの想いに応えたら、私はぼっちになってしまう…
それなら、私も恋のレールに少しは踏み込んでもいいんじゃないかと思えてくる。
勿論、剣道が一番だ。
…でも、原田なら剣道を一番でも付き合っていけるかもしれない。
…なんてことは、到底二人の前では口には出せなかった。
…馬鹿なことは考えずに、日曜日はとりあえず友達感覚で原田とデート…いや、遊びに行ってこようと思う。
そのあと、私たちは何も語らずに家路を辿り別れた。
なんとなく気まずくなってしまったんだ…
前までならそんなことはほとんどなかったのに…
最近はこんなことが多いことに苛立ちを感じる。
私は玄関の前で大きなため息をついてから、一旦リセットして家の中に入った。




