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とらいあぐる  作者: おきゆむ
高校一年 春
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41/76

一本取れたらデート①

暦が5月を刻んだ日、私はいつものように体育館で練習にいそしんでいた。


そして、後半の男子との練習時間になり、私は獲物を探すように男子部員に目を向ける。


「俺とやろうぜ」


目線の先とは違う方から声が聞こえた。


声の方に目を向けると、そこには袴姿の原田が意気揚々と立っている。


どうやら部活をちゃんと続けていくそうで、袴を購入したそうだ。


勿論、谷くんも。


「えー」


私は露骨に嫌な顔をした。


「そろそろ、いいだろ?一回くらい手合わせしてくれよ?」


…確かに原田は真面目に練習している。


そこにはもう不良の面影はない…いや、金髪は変わらずだから、そうでもないかな…


「…分かった。一回だけだからね?というか、すぐに根を上げないでよ?」


仏頂面で答える。


「本当か!?よしっ!大丈夫、根なんて上げないぜっ!」


原田が思わずガッツポーズをする。


…こっちまで恥ずかしいからやめろ。


早速、面をつけて、原田も座って同じく面をつけた。


すぐに手合わせが始まる。


次々と容赦なく原田に打ち込んでいく。


面、胴、小手と様々に…


五分もしないうちに、原田が息を切らして膝をついた。


「ちょっと、根を上げないんじゃなかったの?」


「…あ、上げてねぇよ!これからだってのっ!」


私は小さくため息を漏らした。


「威勢だけはいいんだから…そんなんじゃ私に一生一本なんて打ち込めないわよ」


「…一生は言い過ぎだろ?そこまで言うんだったら、一回でも俺が一本が取れたら俺とデートしてくれよ?」


「はぁ!?」


原田の突然のふざけた申し出を聞いて思わず声を上げた。


「…何だよ。お前だって口だけじゃねぇか?俺には一生一本を打たれないんだろ?」


原田の挑発にカチンとくる。


「…いいわよ。もし、練習が終わる時間までにアンタが一本でも私から取れたら、デートでもなんでもしてあげるわよ…」


「言ったな。約束だからな!ぜってぇ、一本取ってやる!」


原田が気合いを入れて立ち上がる。


私も精神を統一し、気合いを入れた。


取れるものなら、取ってみなさいよ…!


それから、すぐに手合わせを再開し、私は一切の手加減をせずに原田に挑んだ。


練習時間が終わるまでに、きっと原田の奴は持たないだろうというくらいに…


しかし、原田は倒れても倒れても立ち上がってくる。


「…ちょっと…なんてタフなのよ」


思わず、本音を口に出す。


流石に飛ばし過ぎて、少し息切れがしてきた。


「…へへ。まだまだ、これからだぜ」


原田の台詞に少したじろいでしまう。


…少し、原田を甘くみていた。


でも、男女の差がここで出てしまうなんて絶対に嫌だ。


竹刀を力強く握り返した。

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